日産自動車は9月6日、7年ぶりにフルモデルチェンジしたEV(電気自動車)・「リーフ」を10月2日に国内で発売すると発表した。
新開発の電池を搭載することにより、1回の充電で走れる航続距離を、これまでの1.4倍となる400kmに延ばした。税込み価格は315万360円から399万600円。航続距離1 km当たり1000円の補助金を活用すれば、もっとも安いモデルで275万360円になる。
充電時間は普通充電(200ボルト、30アンペア)がおよそ8時間で、初代リーフと変わらない。急速充電は80%充電するのに40分と、現行より10分長くかかるのが難点だ。西川廣人社長は「新型リーフは今後の日産のコア(核)となる商品だ」と自信を見せる。
新型リーフは2018年1月以降、米国や欧州市場で売り出し、年間の世界販売台数は10万台、国内での販売は年3万6000台を目標にしている。
EV戦争がさらに激化
1886年、ドイツ人のベンツとダイムラーが生み出したエンジン車は不動のものと思われていたが、いよいよEVの本格的な挑戦が始まった。
欧州で新車販売市場の2位、3位を占める英仏は2040年以降、ガソリン・ディーゼルエンジンだけで動く自動車の販売を禁止する。世界最大の自動車市場である中国は、エコカーを一定以上売るよう求める規制を18年にも導入する。このような各国の“脱燃料政策”が、EVに追い風となる。
大手自動車メーカーがEVに本格参入したのは06年だ。同年、三菱自動車工業が軽自動車「i」をベースにした「i-MiEV」、富士重工業(現SUBARU)は軽の「R1e」を、それぞれ電力会社と共同で実証走行をすると発表した。
量産タイプの発売は09年。三菱自が「i-MiEV」(当初379万円、その後284万円に値下げ)、富士重工が「スバル プラグイン ステラ」(450万円)の販売を開始した。
日産もEVで勝負をかけた。1997年に世界初の量産型HV(ハイブリッド車)・「プリウス」を発売し、世界のHV市場を支配していたトヨタ自動車と同じ土俵で勝負しても勝てないのは明白で、“敗者の戦略”として採った策がEVだったのだ。
10年12月、日産はリーフ(当初は376万円、その後299万円に値下げ)の販売を開始した。日産は「世界初の量産型EV」と謳っている。当初、16年度までに累計販売150万台を計画していた。しかし、日産・ルノー(カルロス・ゴーン会長兼CEO)に三菱自も加えたEVの世界販売台数の累計は、17年7月末時点で48万台だ。
リーフの国内販売台数は、10年12月に19台からスタート。その後、年間1万台で推移。17年7月の販売台数は1169台にすぎない。累計販売台数は8万832台と大苦戦している。リーフの世界販売台数は17年7月末で28万台だ。
「リーフは、全世界でも昨年5万1882台の販売にとどまっており、まだまだ赤字だ。2代目のリーフの販売が安定的に年間10万台を超えれば、黒字が見えてくるかもしれない」(自動車担当アナリスト)