フェイスブック、ウーバー、イケア、ピクサー、そして、アップルやグーグル。世界で絶大な影響力を持ちながら、今なお成長し続ける企業の代表格だ。
彼らは、なぜトップに君臨し続けることができるのだろうか? そこには「カテゴリー」でトップに立つという戦略を見事に実践している事実がある。しかも、重要なのは既存のカテゴリーで勝負していることではなく、新たなカテゴリーをデザインし、その領域を自社の色に染め上げている点だ。
アメリカで出版されて好評を呼び、日本語翻訳版が出版された『カテゴリーキング Airbnb、Google、Uberは、なぜ世界のトップに立てたのか』(アル・ラマダン、デイブ・ピーターソン、クリストファー・ロックヘッド、ケビン・メイニー著、長谷川圭訳、集英社刊)は、そんなカテゴリーでトップに立つ「カテゴリーキング」たちの実態を分析する1冊だ。
本書の内容を踏まえて、なぜグーグルが今のような存在になれたのかについて解説しよう。
グーグルが検索エンジンでトップになれた理由
グーグルの成長について説明を始める前に、なつかしい名前を挙げていこう。
スタンフォード大学の学生寮で、ラリー・ペイジ氏とセルゲイ・ブリン氏によってグーグルが生み出されたのは、まさにそんな時代だ。それから間もなく、グーグルはウェブ検索の王者として君臨することになる。いったいなぜ、それが可能だったのだろうか?
それを理解するためには、先ほど挙げた検索エンジンたちが市場を支配できなかった理由を述べる必要があるだろう。つまり、彼らは収益を上げられなかったのだ。当時、検索エンジンにとって収益を得る唯一の手段はバナー広告だったが、誰もがクリックしたくなるようなバナー広告はなかった。しかし、グーグルは違った。
ペイジ氏とブリン氏は、まずワールドワイドウェブ(www)の各ページを結ぶリンクを選挙の投票に見立て、その数を数えることでページをランク付けするという仕組みを考えた。つまり、「被リンク数が多いページこそ、価値があるページ」という考えである。これこそが、単なる検索システムとは一線を画す新たなカテゴリーの創造だった。
さらに、この新たな検索方法を収益に換える手段をつくる。「アドワーズ」である。これによって、ユーザーが検索した対象に見合った広告を表示することができるようになり、広告主も「広告が見られた回数」ではなく「広告がもたらす成果」に対して報酬を払うことができる仕組みが整えられた。
検索ワードに対する広告のオークション形式のシステムも導入したグーグルは、個人情報サービスと広告をミックスすることで新たなビジネスモデルを創造し、このカテゴリーに真の革命をもたらしたのだ。
『カテゴリーキング Airbnb、Google、Uberは、なぜ世界のトップに立てたのか』 Facebook、Google、Salesfroce.com、Uber、VMware、Netflix、IKEA、Birds Eye、5-hour ENERGYやPixarが共通してやってきたことは? 彼らはみな、製品やサービスの新たなカテゴリーを創造し、発展させ、そして支配し続けてきたのだ。