アマゾンジャパンが9月20日、オフィス用品など法人向け通販「アマゾンビジネス」を始めた。インターネット通販大手の米アマゾン・ドット・コムは2015年に米国で同サービスをスタートしており、日本はドイツや英国に次いで4カ国目になる。
アマゾンは、文具・書籍・玩具から大型動物の実物大の模型まで多種多様の商品を取り扱い、世界の小売業界を揺るがしてきた。16年12月期の売上高は1359億ドル(約15兆円)。日本事業のそれは107億ドル(約1.2兆円)。日本事業は百貨店の三越伊勢丹ホールディングスやJ・フロントリテイリングと並ぶ規模になっている。
そのアマゾンが、いよいよ法人向け通販ビジネスに攻め込んできた。豊富な品ぞろえと低価格がセールスポイントで、米国ではサービスを開始してからわずか2年で100万社が利用しているという。
アマゾンビジネス最大の特徴は、2億点という商品の豊富さだ。オフィス用品以外にも、電動工具や自動車関連の部品まで幅広く扱っており、病院や工場からの受注を見込んでいる。
「企業が求めるすべてのリクエストに応えます」というのがアマゾンのセールストークだ。
オフィス用品通販最大手「アスクル」の商品数は373万点(17年8月時点)、工具・工場用品通販「MonotaRO(モノタロウ)」の商品数は1000万点(17年6月末時点)だ。アマゾンは規模で圧倒する。法人向け通販市場もアマゾンに征服されてしまう可能性が出てきた。
アスクルに重くのしかかる大火災の爪痕
アマゾンビジネスの立ち上げが発表された9月20日のアスクルの株価(終値)は3365円。1カ月後の10月20日の終値は3100円で、8%下落した。モノタロウの株価は3525円から3105円へ12%下げた。株価の動きを見る限り、投資家は両社がアマゾンビジネスの影響を受けることは避けられないと見なしているといえる。
特にアスクルはアマゾンビジネスとのガチンコ対決となる。国内の法人向け通販は、アスクル、大塚商会の「たのめーる」、コクヨの子会社「カウネット」の3社の売り上げを合算すると、5000億円規模になる。
アマゾンはこれまで、書籍や家電、衣料品など消費者向けの市場で実店舗の領域を切り崩し、ネット通販経済圏を築いてきた。だが法人向け通販は、すでにネット上に強いライバルがいる市場に参入しての戦いになる。