「世界遺産周辺、良好な低層住宅地や歴史的な建造物が多く存在する地区など、地域の景観特性や市街地環境の特性、土地利用等を考慮して、屋外広告物が町並み景観や建築物と調和するよう規制・誘導しています」(京都市「京 みやこの景観ガイドライン」より)
そして、規制・誘導する「屋外広告物」は次のようなものであるとしている。
「屋外広告物とは、(1)常時又は一定の期間継続して(2)屋外で (3)公衆に表示されるもので、具体的には、看板や広告塔、ポスターなどだけではなく、建築物の壁面等に直接表示するものも含みます。また、表示内容については文字だけではなく、商標、シンボルマーク、写真など一定のイメージを与えるものや商業広告以外の営利を目的としないものも含みます」(同)
この指導ガイドラインにより、たとえばローソンの看板は通常青とマゼンタ(赤の一種)なのだが、京都市に限って白地に黒でのロゴ表現に留まっている。また、郵便局の看板でさえも、通常の赤地に白抜き字ではなく京都市では白基調に赤字を使うという、いってみれば地味な表現のものに抑えられている。
タテカンは屋外広告物ではない、言論機関だ
上記の定義により、京大のタテカンは営利を目的としない、政治的なものや主張を述べたものも含め規制・指導の対象となるとしているのだ。この秋、京大への指導を強めたのは「京大といえども特別な存在と認識していない」(京都市役所広告景観づくり推進室)という立場もあるうえに、今まで指導を受け入れてきた町の商業施設者が「どうして京大だけ特別扱いなのか」という苦情を寄せたともいわれているが、確認はされていない。
玉川徹氏は前出番組内で「そんなことを言う人は前からの京都人ではないのだろう」と京都人的なコメントをしていた。京大生は伝統的にタテカンに対して寛容だ。現役の京大生も番組内で「京大生はタテカンが大好き」と、あっけらかんと話していた。
そして過去の京大総長、副学長も以下のようにタテカンを許容してきた。
「立て看板は京大の文化です。思想性のある立て看板は他大学にはないし、禁止することはないと思っています」(尾池和夫氏、04年時総長)
「立て看板は京大生の大事なコミュニケーション手段。無くそうというつもりはありません」(東山紘久氏、04年時副学長)