まるか食品の「ペヤングソースやきそば」といえば、税込212円というコスパの良さなどが受け、昨年発売45周年という節目を迎えた定番カップやきそばだ。
近年は「ペヤング獄激辛やきそば」(税込225円)や「ペヤング超超超超超超大盛やきそばペタマックス」(税込1078円)といった、強烈すぎるインパクトの商品がたびたび話題に。SNS上やYouTubeなどでも多くのユーザーが取り上げていた印象が強い「ペヤング」だが、その魅力は“ド派手なやきそば”だけにはとどまらない。
3月22日に発売となった「ペヤング なんちゃって蕎麦風」(以下、蕎麦風/税込225円)は、やきそば×和風蕎麦という異色の組み合わせながら、その本格的な味わいが評判を呼んでいるのだ。そこで今回は、ペヤングホールディングスの製品開発課の小島裕太さんに同商品の開発秘話を聞いたほか、筆者が実食してレポートしたい。
アレルギーのある人でも味わえる蕎麦粉不使用の“和風ペヤング”
まずは、蕎麦風がどのような商品なのかについて説明していただこう。
「この商品は、和風蕎麦をイメージしたペヤングで、麺にそばの香料と、色付けのための黒色の色素を練りこんでいます。味付けに関してはカツオ出汁の効いためんつゆ風の醤油ベースの味付けになっていて、具材はネギと天かすです」(小島氏)
意外にも本商品は完全な初登場ではなくリメイク商品なのだそうだ。
「実は本品は、2013年の『ペヤング 和風焼き蕎麦』のリバイバルとしてスタートしたのですが、その際に“普通に再販してもつまらないので何か付加価値を加えたい”ということになり、蕎麦粉不使用という方向で開発を進めることになったんです」(小島氏)
しかし、蕎麦粉を使わずに過去商品を再現するのは、かなり難しいのではないだろうか?
「はい、実際苦労しました。蕎麦の決め手は何といってもその香りですし、香りの源である蕎麦粉を使わないという縛りには頭を抱えました。そこで香りが立って商品全体になじむ蕎麦の香料を探すことになったのですが、そもそも蕎麦の香料なんてあるのか?と開発陣も当初は不安だったそうです。しかし、幾度となく探すうちにぴったり合う蕎麦香料を製作しているメーカーさんにたどり着き、無事完成することができました。
そのほか、後入れの天かすや輪ネギなど、シンプルかつ蕎麦の風味を損なわないトッピングや味付けにもこだわったので、ぜひ味わってみてほしいです」(小島氏)
今回の商品名は「なんちゃって蕎麦風」というインパクトのあるネーミングだが、これはどのようにして決まったのだろうか。
「これは社長の一言が大きく影響しています。社長から、普通に『ペヤングやきそば 蕎麦風』ではつまらないよね、という鶴の一声があり『なんちゃって』の一言を足しました。今回のように、社長はいつも試食のときにこんなネーミングにしたらどう?とアイデアをくれるので、それをブラッシュアップして商品名にすることが多いです」(小島氏)
そんな蕎麦風だが、小島氏に本品をより美味しく食べられるおすすめのちょい足しアレンジを聞いた。
「七味唐辛子やきざみのりを足したり、もしくは生のネギを足してみたり、生卵を落としてみたりなど、実際のお蕎麦の食べ方に近いアレンジをするとより美味しく食べていただけるかと思います」(小島氏)
最後に、小島氏からペヤングファンに耳寄りの情報を伺った。
「人気商品『ペヤング獄激辛やきそば』の派生商品が5月頃に発売予定です。今度は“辛いものを食べるときの定番アレンジ”を再現した商品になります。どんなアレンジになるか、ご期待ください」(小島氏)
次々新作が発表されるペヤングトレンドから目が離せないといったところだが、ここからは蕎麦風を実食し、筆者の率直な感想をレポートしていこう。
本当に蕎麦感はあるのか?
というわけで、ここからは実際に筆者が同商品を実食し、その味わいを忖度なしで書かせていただいた。
緑と白のすっきりしたコントラストが爽やかなパッケージ。赤字で記されている「そば粉不使用0」の文字からは、本品最大の特徴がわかりやすく目に入ってくる。
蓋を開け、中に入っているトッピング類を取り出してみた。輪ネギと天かすが入った「かやく」はサクサクした食感を残すためにも後入れとなっている。また、ソースは粉タイプではなく液体タイプ。
麺の量は通常の『ペヤングソースやきそば』と同じながら、その色や風味はまさに乾麺の「蕎麦」を思わせる。これで、蕎麦粉が入っていないというのだから不思議なものだ……。規定の量までお湯を注ぎ、3分待機。
湯切り部分の蓋を剥がし、ゆっくり丁寧に湯切り。ホカホカの麺にソースを回しかけたら、後入れのトッピングも投入。よくかき混ぜたら、いざ実食!
まず、口に入れて一番にくるのは芳醇なカツオ出汁の香りと旨味。しょうゆ味をベースとした少し甘めの味付けで、食欲が刺激される。
麺の色と照りはまさに蕎麦。噛んでいくとほのかに蕎麦風の香りもしてくる。天かすと輪ネギのサクサクした食感も楽しい。よりサクサク感を楽しみたいなら、ソースを混ぜた後にかけてもいいだろう。
そんな本品に、今回は小島氏がおすすめしてくれた長ネギと七味をちょい足ししてみたが、これが抜群の好相性! 長ネギの辛味が甘めの味付けをうまく引き締めてくれ、その後に七味と蕎麦風の香りが鼻に抜ける。そして、最後にピリッと口に残る辛味……これはクセになる。
「パワー系だけがペヤングじゃない!」まるで、そう主張するかのような、まるか食品自慢の繊細な味わいに、読者の皆さんもぜひチャレンジしてみてはどうだろうか。
(文=TND幽介/A4studio)