認定基準は、地域の伝統的な知識の体系や生物多様性など
世界農業遺産とは、どのような基準で認定しているのだろうか。農林水産省のリーフレットにはこう記されている。
「世界農業遺産は、社会や環境に適応しながら何世代にもわたり形づくられてきた伝統的な農林水産業と、それに関わって育まれた文化、ランドスケープ、生物多様性などが一体となった世界的に重要な農林水産業システムを国連食糧農業機関(FAO)が認定する」
認定にあたっては、食料及び生計の保証、農業生物多様性、地域の伝統的な知識システム、文化・価値観及び社会組織、ランドスケープ及びシースケープの特徴――という5つの基準と保全計画に基づき評価が下され、書類審査と現地調査を経てFAOが認定する。
これまでに世界19カ国49地域が認定されている。このうち日本の認定地域は11ある。エリアと認定を受けたシステム、認定年は以下の通り。
(1)新潟県佐渡市(トキと共生する佐渡の里山:11年6月)
(2)石川県能登地域(能登の里山里海:11年6月)
(3)静岡県掛川周辺地域(静岡の茶草場農法:13年5月)
(4)熊本県阿蘇地域(阿蘇の草原の維持と持続的農業:13年5月)
(5)大分県国東半島宇佐地域(クヌギ林とため池がつなぐ国東半島・宇佐の農林水産循環:13年5月)
(6)岐阜県長良川上中流域(清流長良川の鮎:15年12月)
(7)和歌山県みなべ・田辺地域(みなべ・田辺の梅システム:15年12月)
(8)宮崎県高千穂郷・椎葉山地域(高千穂郷・椎葉山の山間地農林業複合システム:15年12月)
(9)宮城県大崎地区(大崎耕土の巧みな水管理による水田農業システム:17年12月)
(10)静岡県わさび栽培地域(静岡水わさびの伝統栽培:18年3月)
(11)徳島県にし阿波地域(にし阿波の傾斜地農耕システム:18年3月)
11年から7年弱で11地域が認定されている。日本の農林水産業の伝統、技術、システム、文化が国際的に評価されているということだ。