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ダイドーの缶コーヒーが売れなくなりつつある理由…医薬品事業進出に活路

文=編集部
ダイドーの缶コーヒーが売れなくなりつつある理由…医薬品事業進出に活路の画像1ダイドーの自動販売機(「wikipedia」より)

 ダイドーグループホールディングス(HD)は、かなりユニークな企業だ。

 飲料部門の事業会社ダイドードリンコが、2月22日に放送された『ワールドビジネスサテライト』(テレビ東京系)で、昼寝を推奨している企業として特集を組まれた。

 同社では、昼休みにコーヒーを飲んだ後、約20分間、昼寝することを全社員に推奨する取り組みを2017年11月から行っている。「午後からの生産性を上げるために実施している」という。昼寝前にコーヒーを飲むのは、カフェインを摂った20~30分後に覚醒効果が現れるからだという。

 日本大学医学部内山真主任教授らは、睡眠不足は作業効率の低下につながったり、遅刻などを引き起こし、年間3兆4694億円の経済損失を招くと報告している。

 ダイドードリンコの昼寝は、“働き方改革”の模範生といったところか。

 そのダイドーグループHDの高松富也社長は3月2日、記者会見し、医療用医薬品市場に参入すると発表した。19年7月に事業を開始する。当面は対象患者が5万人未満と少なく、有効な治療薬が存在しない希少疾病用医薬品市場に限定し、大手医薬品メーカーとの競合を避けながら、社会的な課題に取り組むとしている。

 希少疾病用医薬品とは聞き慣れない言葉だ。薬物療法の必要性が高いにもかかわらず患者数が少ないため、製薬会社の採算が取れない医薬品を指す。

 日本では対象患者数5万人未満の患者に用いる医薬品のことを希少疾病医薬品と呼んでいる。

 米国では、対象患者が20万人未満の医薬品をオーファンドラッグと定義し、税制上の優遇措置に加え、7年間の市場独占を認めている。そのため、バイオベンチャーがこぞって参入している。

 ダイドーグループHDは、こうしたバイオベンチャーを買収して医薬品事業に参入するとみられる。同グループには祖業で医薬品部門の事業会社、大同薬品工業があるが、ドリンク剤が中心で、医療用医薬品はほぼ新規参入といえる。

清涼飲料業界で再編の動き

 清涼飲料業界では15年、サントリー食品インターナショナルが日本たばこ産業(JT)の自動販売機事業を約1500億円で買収。地域ごとに商品を生産、販売するコカ・コーラのボトラーであるコカ・コーラウエストとコカ・コーライーストジャパン、四国コカ・コーラボトリングが18年1月1日に統合して、コカ・コーラボトラーズジャパンが誕生するなど、M&A(合併・買収)の動きが広まっている。

 清涼飲料の売り上げは、自販機経由が業界平均で3割と大きい。なかでも、自販機をまんべんなく配置しているのがダイドードリンコなのだ。

 ダイドーグループHDの18年1月期の連結決算(本決算)は、売上高が前期比0.7%増の1726億円、営業利益は同26.8%増の48億円、純利益は同23.4%減の25億円だった。

 ファンケルグループとの共同開発商品「大人のカロリミット はとむぎブレンド茶」の販売がコンビニエンスストアを中心に伸びたことが営業増益の理由だ。純利益が減少したのは、ロシアとマレーシアの飲料事業で計4億3000万円の減損を計上したことによる。

 主力の自販機事業は振るわなかった。国内飲料事業の売上高は1267億円で、前期比15億円減った。販売チャネルは自販機が83%を占めるが、自販機の売り上げは21億円減った。国内飲料事業の56%は缶コーヒー。缶コーヒーは7.1億円の落ち込み。コンビニコーヒーに食われた痛手から回復していない。

 缶コーヒーが“ダイドー”の代名詞だったが、起死回生の妙案はあるのか。希少疾病用医薬品の開発・販売への参入は新たなチャレンジとなるが、成長の起爆剤とするにはハードルが高そうだ。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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