関連銘柄の本命は博報堂の孫会社
メルカリの上場機運が高まったことで、メルカリの株式公開で持ち株の含み益が拡大すると期待される企業など関連銘柄にスポットライトが当たる。
関連銘柄の筆頭に挙げられるのは三井物産だ。メルカリが16年3月に実施した第三者割当増資(84億円)を一番多く引き受け、役員2人を派遣している。ほかに引き受けたのは日本政策投資銀行など5社とされる。
14年3月の第三者割当増資(14億5000万円)では、伊藤忠商事傘下の伊藤忠テクノロジーベンチャーズやGMOインターネット系のGMOベンチャーパートナーズが出資した。
だが、メルカリが上場しても、三井物産や伊藤忠商事の財務にプラスの影響を及ぼすことはほとんどない。そのため、メルカリの上場が相対的に最もプラスになる関連銘柄を探すことになるが、本命と目されるのは、ユナイテッドだ。13年8月にメルカリの2億2000万円分の株式と8000万円分の新株予約権付き社債を引き受け業務提携している。
ネット広告とスマホ用ゲーム開発が主力のユナイテッドは、博報堂DYメディアパートナーズの子会社、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)が43.17%を保有する筆頭株主。DACはインターネット広告のメディアレップ(媒体代理店)で、国内首位だ。12年2月、DACがTOB(株式公開買い付け)を実施してユナイテッドを子会社に組み入れた。ユナイテッドは国内広告代理店2位の博報堂DYホールディングス(博報堂)の孫会社である。
ユナイテッドはもともとベンチャー投資が主だったが、DACの傘下に入り、ネット広告とスマホアプリ開発に転換した経緯がある。
ユナイテッドは13年8月、メルカリの前身であるコウゾウと資本業務提携を結んだ。この時に株式の取得と新株予約権付き社債の引き受けで総額3億円を投資した。
メルカリの上場の思惑から、ユナイテッドの株価は今回も大きく動いた。株価は2月6日の安値(2910円)から4月13日の高値(5230円)まで8割上昇した。その後、一服しているが、メルカリの上場を東証が正式に承認すれば、一段と株価が上昇することもあり得る。
ユナイテッドはメルカリの上場接近説が流れるたびに買われ、「上場延期」の情報が出ると反動で売られる習性がある。昨年11月6日も日経新聞の報道を受けてストップ安となっている。
DACとアイレップの共同持ち株会社で東証2部に上場しているD.A.コンソーシアムホールディングスも、関連銘柄として材料視される可能性がある。
東京証券取引所は5月14日にもメルカリの上場を承認して発表する。6月は、メルカリをはじめ15社程度が上場することになりそうだ。
さらに、メルカリの公開が決まれば、次の超大物はソフトバンクだ。自動運転技術のZMP、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンを運営するユー・エス・ジェイ、100ショップ「ザ・ダイソー」を展開する大創産業、クラウド会計ソフトのfreeeなどの株式公開も取り沙汰されており、今年後半の上場予定企業は大物が揃っている。
(文=編集部)