若き有望アメフト選手を加害者に仕立てた「日大の異常な経営体質」…逃げ回る田中理事長
関西学院大学とのアメリカンフットボール定期戦で相手側のクォーターバック選手に対して故意の反則タックルを仕掛けた日本大学の選手が22日、謝罪会見を開いた。本人の反省、謝罪は真摯で誠意あるものとして世間に受け取られたが、他の加害関係者、ひいては組織としての日本大学の対応は稚拙で、いたずらに時間を要している。結果、誠意ある対応がないと関学大側から指摘されている。
本件で反則行為の指示を出したとされる内田正人前監督の責任はもちろん重いが、その監督責任者で組織上の上司である田中英壽理事長は、まったく表に出てこない。日大の経営ガバナンスはどうなっているのか。
タイミングのよい記者会見
問題の反則行為を行ったのは、日大3年生の宮川泰介選手。その前日に実施が決定したという会見は、冒頭の代理人弁護士からの経過説明を含め、1時間という長時間にわたった。宮川選手は詳細な「陳述書」を用意して、日付ごとに時系列で出来事を報告し、自身の時々の感懐を明かした。
陳述書によれば、5月11日に宮川選手と両親が内田監督と面会し、監督による反則指示の公表を求めたが拒否されたという。退部も決意していて思い悩んだ宮川選手の父親が弁護士に代理人を依頼したのが、15日だったという(代理人の冒頭説明)。18日には、選手と家族だけで被害者である関学大選手への謝罪訪問を実施していることから、代理人を選任したことで、宮川選手が“日大の呪縛”から逃れ始めたように私は理解した。
日大は事実関係の確認作業などを進めて24日をメドに改めて関学大に回答するとしていたが、代理人は「監督、コーチから事実を聞きたいというお話は、今までただの一度もありません」と話し、部としての事情聞き取りの予定がないことから、急遽22日の会見をセットしたと説明した。
記者会見の段取り、準備も周到なものだった。会場を提供した日本記者クラブは、通例では会見に臨むのは当事者本人のみで、弁護士などの同席を認めていないが、「本人が20歳を超えたばかりの未成年に近い青年なので」(代理人)例外として認められたという。記者からの質問に適宜割って入るなど、宮川選手にとっては心強い存在だったであろう。何しろ、20歳の青年が突然100名を超える報道陣と多数のテレビカメラの前に立たされたのだ。大きな試練であり、勇気がなければできることではない。