「皇居にほど近い大学事務局に、国税当局の係官が踏み込んだ。人気のない夏休みを狙い、8月4日から連日、捜索が行われている。休んでいた職員たちも相次いで駆けつけているようで、学内はちょっとしたパニックになっている」
この大学、全国各地で付属高校を数多く運営しており、甲子園でもおなじみの有名校ばかり。大学からは、“久々の日本人横綱”と期待される若手力士を輩出している。これらの学校を束ねる理事長は、教育界の重鎮とはとても思えない“黒い交際”でメディアを騒がせてきた。
「3大暴力団のトップと肩を並べた写真が週刊誌に先ごろ掲載されて、米国メディアも取り上げているんだ。この暴力団トップは、米国でテロリスト扱いされていて、資産凍結の対象者になっている。安倍政権も、理事長と暴力団トップとの関係をけしからんと思っている。理事長は、来る東京オリンピックで重職を担っているからね」(前出の社会部記者)
それにしても、連日続く猛暑のさなかに踏み込むとは、尋常ならざる事情がありそうだ。大学の理事OBが「もう時間がないから」と表情をこわばらせる。
「あと1カ月もすれば、理事長選挙が行われる。今の理事長は、自ら再選されるようにと、投票権のある理事メンバーをみんな子飼いにしてしまった。暴力団とゆかりのあるような理事長を、誰もいいとは思っていない。でも、歯向かった者は次々と左遷の憂き目に遭っているから、理事長に“ノー”を突きつけられない雰囲気だ」
最近、理事長の側近といわれ、大学事務局の取りまとめをしてきた総務部長を、片田舎の学校の事務員に飛ばしてしまう強烈な人事が断行された。その辺りから、国税当局に校内の黒いカネにまつわる極秘情報が寄せられたようだ。前出の社会部記者が言う。
「政府の意を受けて、国税が踏み込んだと聞いている。今回の動きは“もし理事長を再選させるなら、検察に告発するぞ”というシグナル。その意味では、れっきとした国策捜査だね」
政府が描くストーリーに沿った場合、大学の大物理事長が摘発されるという前代未聞の事件にもなりかねない。
(文=編集部)