5月6日に行われた関西学院大学と日本大学によるアメリカンフットボールの定期戦で、日大の選手が悪質な反則タックルで退場になったことが社会問題化している。
この問題については、ワイドショーのコメンテーターなどが日大を批判。関学大からも「ちょっと度を越したプレー。フットボールと違う。明らかに傷つけることを目的にしている」と抗議の声が上がる一方で、日大の対応は常に後手に回り、世間は日大に不信感を募らせている。15日に日大が関学大に謝罪文を届けたが、関学大は17日の記者会見で「誠意ある回答とは判断しかねる」と日大の対応にあらためて疑問を投げかけている。
すると19日、騒動後は姿を消していた日大アメフト部の内田正人監督がついに口を開いた。しかし、内田監督は「一連の問題は私の責任でございます」と語って辞意を表明したものの、「悪質タックルをした選手に指示をしたか」という点については「(関学大への)文書で回答する」と明言を避けた。
これに対し、被害に遭った関学大選手の父親が21日に会見を開いて批判。「(内田)監督の会見で真実を聞くことができませんでした。私の息子になぜあのようなことをしたのか、加害者がなぜあそこまで追い込まれたのか」と語り、警察に被害届を提出したことを明かした。
さらにスポーツ庁も動き出し、20日夜に鈴木大地長官が「(内田監督の)辞意がどうのというよりも、むしろあの危険なタックルがなぜ起こったのか。選手以外のところから何かあったのではないかという話もありますので、そのへんですね。我々の関心は」と語る事態に発展している。
内田前監督の対応についてはワイドショーでも多く扱われており、21日放送の『バイキング』(フジテレビ系)では、坂上忍が「あきれるしかない。やっと出てきたと思ったら肝心なことを何ひとつ話していない」と厳しく非難。同日放送の『とくダネ!』(同)でも、キャスターの小倉智昭が「一番守りたいのは自分という感じになっている」と指摘している。
「地獄のすべてが象徴」「組織的パワハラ」の声
そんななか、22日に反則行為を行った日大の宮川泰介選手が日本記者クラブで会見を行い、一連のプレーが監督およびコーチの指示であることを明かした。
宮川選手は関学大の選手や関係者にお詫びした後で「やる気がないなら辞めろ。相手のクオーターバック(QB)を潰すなら試合に出してやる」と指示されたことを明かした。さらに、「監督、井上コーチから『ワンプレー目からQBを潰しに行け』、試合前に井上コーチから『できなかったじゃ済まされない』と言われた。『秋の関西学院大の試合でQBがケガをしていれば得だろう』(と言われた)」などと当時のやり取りを語った。
日大広報部は内田前監督が学内の調査に「違反しろとは言っていない」と述べたと発表しており、15日付の関学大への回答書には「指導と選手の受け取り方に乖離が起きたことが問題の本質」としていたが、これらに真っ向から反論したかたちだ。