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ワタミがホワイト企業化…「安くない」鳥メロ絶好調&わたみ隠しで復活開始

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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ワタミがホワイト企業化…「安くない」鳥メロ絶好調&わたみ隠しで復活開始の画像1三代目鳥メロの店舗(「Wikipedia」より/Asanagi)

 居酒屋「和民」を運営するワタミが、居酒屋「わたみん家」を今年度中に廃止する方針を明らかにした。他業態への転換を推し進める考えだ。数々の不祥事でイメージが悪化していた「わたみ」の名がついた店舗を無くし、イメージの刷新を図る。

 わたみん家は、焼き鳥など焼き物料理を低価格で提供することを売りとする居酒屋だ。焼き鳥の「鶏皮串」と「せせり串」が1本99円で、これら以外の焼き鳥は130円と150円が中心。アルコールは1杯299円と399円が中心となっている。

 筆者の感覚では、わたみん家は居酒屋としてはかなり安いので、価格競争力があるように思える。しかも、近年は「鳥貴族」など鶏肉を使った料理を提供する居酒屋や飲食店に勢いがあり、わたみん家に追い風が吹いている。さらに、わたみん家では炭火で焼き鳥を焼き上げるため、そうでない焼き鳥居酒屋との差別化を図ることができている。

 こうしてみると、本来であればわたみん家は人気チェーンになっていてもおかしくない。しかし、それでも廃止するということは、よほど「わたみ」の名が客を遠ざける要因となっているのだろう。

 2018年3月期の1年間で、わたみん家は84店減り、期末の店舗数は19店になった。和民と「坐・和民」も、合わせて65店減って137店となっている。これら「わたみ」を冠した居酒屋は、焼き鳥が主力の居酒屋「三代目鳥メロ」や、から揚げが主力の居酒屋「ミライザカ」などへ転換を進めている。

 18年3月期に、三代目鳥メロは72店増えて123店、ミライザカは63店増えて102店となった。両業態とも好調で、転換店に関していえば、三代目鳥メロは売上高が前年比28%増、ミライザカは25%増と、それぞれ大幅な増収になったという。今期は新規出店も本格化するようで、転換を含めて両業態で最大70店を増やす考えだ。ワタミグループの全業態では13店増え、期末店舗数は480店になる見込み。

 ちなみに、三代目鳥メロでは「鶏皮串」や「せせり串」などを1本150円で提供し、同価格が焼き鳥の中心価格となっている。わたみん家だけでなく他の競合店と比べても、三代目鳥メロの焼き鳥はさほど安くはない。ほかのメニューも同様だ。一方で、199円の生ビールを前面に打ち出すことで安さをアピールし、集客の目玉としている。

 ミライザカも199円のハイボールを前面に打ち出している。メニューは、から揚げを中心とした399円や499円の価格のものが多い。一方、わたみん家の焼き鳥以外のメニューは299円や399円の価格のものが多いため、ミライザカのほうが全体的に高い印象を受ける。

 こうしてみると、わたみん家を廃止して三代目鳥メロとミライザカに転換するのは、「わたみ」を隠すだけでなく、収益性を高める狙いもあると考えられる。食材原価や人件費などが高騰しているなか、値上げで対応するのではなく、コスト増加分をあらかじめ反映させたやや価格が高い新業態で営業するほうが得策と判断しているのだろう。ただ、全メニューが高いとなると集客が難しくなるため、199円という低価格のアルコールメニューを開発して前面で打ち出すことで、割高感を和らげていると考えられる。

 いずれにしても、「わたみ隠し」は奏功しているといえるだろう。ワタミの18年3月期の連結決算は、売上高が前年比3.8%減の964億円、最終的な儲けを示す純損益が1.5億円の黒字(前期は18.3億円の赤字)だった。売上高の減少幅は縮小し、純損益は黒字転換している。

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