1968年に発売されて以来、現在までレトルトカレー市場の第一線を走り続けてきた「ボンカレー」。今年で50周年を迎えるボンカレーによる“新たなる挑戦”が今、話題となっている。
6月18日、ボンカレーを手掛ける大塚食品が、インドのカレー市場へと参入することを発表したのだ。同社の海外進出の歩みとしては、2003年に中国の上海に現地法人を設立しており、インドは2カ国目となる。現地法人はインドのカルナタカ州バンガロール市に設立され、今秋をめどにレトルトカレーの販売を開始していくとのこと。
日本食は今や世界的にポピュラーな存在であり、カレーもその例外ではない。日本のカレーチェーンである「CoCo壱番屋」や「ゴーゴーカレー」などはアメリカに進出しており、多くのファンを獲得しているという。
だが、インドといえばカレーの祖国。カレーをソウルフードとする国に、ガラパゴス的な進化を遂げた日本カレーで参入しようというのは、なかなか難しいのではないかと懸念してしまう。なぜ大塚食品はインドへと進出しようと考えたのだろうか。
そこで今回、大塚食品にインド市場進出の狙いや勝算について聞いた。
“インドのシリコンバレー”を拠点に新感覚カレーとして攻勢をかける
まず、大塚食品は、どのような点に勝算を見いだしたのだろうか。
「ボンカレーが誕生50周年を迎えた今年、大塚食品では海外戦略の強化をテーマに掲げております。ボンカレーはもちろんですが、我々が海外へ提供したいのは、保存料を使用していないにもかかわらず、常温での長期保存が可能な『レトルト食品』の技術です。
確かにインドは根強いカレー文化がある国なので、一筋縄ではいかないでしょう。しかし、現在のインドは経済の急成長に伴い、食生活も大きく変化してきています。生活スタイルの変化や健康志向の増加によって、市場環境が大きな変動を迎えている今だからこそ、新しい食品やサービスが参入する余地があるのではないか、と我々は判断しております。
また、今回現地法人を設立したバンガロールは“インドのシリコンバレー”とも呼ばれる都市で、IT企業が数多く存在し、女性の社会進出も活発な先進的エリアです。新しいものへのアンテナが敏感な都市なので、ボンカレーが新規参入するにはうってつけだと考えています」(大塚食品広報担当者)
インドはカレーの本場であると同時に、現在急速な勢いで経済発展を遂げている国でもある。仕事で疲れたビジネスパーソンが手軽に美味しく食べられるレトルトカレーは、確かに現在のインド市場にマッチするのかもしれない。