認知症保険のパイオニアとして知られる太陽生命保険。同社が6月1日に発売した「がん・重大疾病予防保険」が初日から圧倒的な勢いを見せ、保険業界でも話題となっている。その後も勢いは止まらず、現在すでに2万件を突破している。
多種多彩ながん保険が発売されているなか、なぜこれほどまでに支持を得たのか。そこには4つのヒットの理由が浮かび上がってきた。
新型コロナウイルス感染拡大中にあっても、がんや重大疾病に対する保険のお客様ニーズは根強い。昨今の医療技術のめざましい進化により、がん治療では放射線、抗がん剤、手術という3大治療以外に、重粒子線、陽子線治療、免疫療法など健康保険適用外の治療を行う人が増えている。このため、一昔前の入院・手術だけを対象とする商品内容では、そぐわないケースも出てきた。
こうしたニーズを受けて発売されたのが「がん・重大疾病予防保険」だ。商品特長は大きく2点だ。
(1)がんと診断されたときに、最高2,000万円の一時金を受け取れる。
(2)がんを含めた3大疾病のみならず、糖尿病や高血圧性疾患などによる所定の状態でも、最高2,000万円の保険金を受け取れる。
ヒットの第1の理由:高額設定
最先端の治療は高額の費用がかかるケースが少なくない。治療だけではなく、雑費もかかれば、体力が戻らず退職するケースもある。また、退院時にやっと入院などの費用が判明し、それに応じて保険金が支払われるため、治療の目途がたたないと、いくら保険金が支払われるのかわからないのだ。
新しい治療方法が多彩になって、積極的に治療を受ける方も増えている。「お金の不安を持たずに、納得のいく治療を受けたい」という方のニーズに一時金の保険はマッチしているものの、近年、がん診断で一時金が支払われる商品で300万円以上の保険金が支払われる保険は、なかなかなかった。そんななか、最高2,000万円までの高額の保険金が設定でき、支払われる保険金も明確という力強さが、第1のヒットの理由に挙げられる。
それだけに、保険金の支払い要件はしっかり確認しておきたい。表の通り、本則(=契約本体)あるいは特則(保障の拡大=ワイド給付)に則って支払われる。
注意したいのは、本則および特則は、いずれの支払事由に該当したときに消滅することだ。
ヒットの第2の理由:保障範囲の広さ
がんと重大疾病の定義を押さえておこう。がんは、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮がん、前立腺がんなど、医師によりがんと診断したものが対象となる。重大疾病に関しては10大疾病を対象とし、急性心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、高血圧性疾患、大動脈瘤・大動脈解離、慢性呼吸不全、慢性膵炎、その他の臓器の障害(心臓ペースメーカー装着、人工肛門造設など)となっている。
これまで3大疾病や8大疾病を対象とした商品はあったが、10大疾病にまで保障範囲を拡大した商品は、ほかにはなかなか見られないことも大きな魅力になっているのだろう。
ヒットの第3の理由:安価な保険料
高額設定が可能で保障も広いとなると、保険料はいくらか、非常に気になるところだ。「高額の保険料と思いきや、安価な保険料という意外性に驚いた」というお客様の声があるように、保険料が安価なこともヒットの理由に挙げられるだろう。
・死亡保障がなしⅠ型、死亡保障がありⅡ型がある
・保険金額100万円(ワイド給付金含む)
・保険期間10年
・口座月払い・予防給付金(生存給付金特則)無・保険料払込免除特約無
実際のプランニングは最低保険料2,000円以上の取り扱いとなる。ちなみに病気になり、保険料の支払いを続けるのは不安という方には、保険料の払い込み免除特約も準備されている。
【保険料払込免除特約2020】
全部で37項目が対象となり、継続する契約の以後の保険料の支払いは免除される。払い込み免除された場合も保障は継続する(更新可能な契約は更新により80歳まで保障される)。
第4の理由:予防給付金と予防サービス
4つめのヒットの理由が、まさにコロナ禍でのお客様のニーズや心情を如実に表していると思えてならない。
・予防給付金(生存給付金特則)
加入1年後から2年ごとに予防給付金を受け取ることができる。予防給付金の設定は、1万円から可能だ。例えば、保険金額を1000万円、保険期間を10年に設定している場合、1年後、3年後、5年後、7年後、9年後に1万円づつ支払われ、10年後の満期時には1万円×6倍の6万円が支払われる。
また、同社では「病気をサポートし、お客様の健康増進のお役に立つ」サービスを提供している。
コロナ禍になって、一般の方の「早期発見」「早期予防」への関心も高まるばかりだ。同社の表にある予防サービスについて、筆者がお客様に聞いたところ、「一時金も魅力だが、予防サービスも最新であることが大きな魅力。早期発見や早期予防サービスの費用は予防給付金から補填したい」と加入の理由を明かす人もいる。
単なる商品だけではなく、予防医学サービスも求められているといえよう。
(文=鬼塚眞子/一般社団法人日本保険ジャーナリスト協会代表、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表)