金融知識ゼロから…地方在住の私が、老後「毎月70万円収入」を実現した方法
新型コロナウイルス感染が拡大し、長引くにつれ、経済的な不安は増すばかりです。特に働き盛り世代にとっては、目の前の生活が精一杯で、老後のことなど到底考えられないのが実情ですよね。そもそも、いくら貯めれば老後は安心して暮せるのでしょうか?
資産形成は専門知識やある程度の元手が必要な上、手続きや操作も面倒で、つねにガツガツギラギラしていないとお金儲けの情報は得られないと思っていませんか?
見るからに温厚そうで穏やかな口調で話すコケコッコ太郎さんは、ある地方に住む53歳の個人事業主です。金融知識ゼロから「頑張らない」「簡単」「手間いらず」「株もFXも保有なし」で資産を増やし、65歳でセミリタイアを果たしたら、毎月70万円以上の収入が入る生活が待ち受けています。
個人事業主といっても同年代の会社員を少し上回る程度の年収のコケコッコ太郎さんの年金受給見込額は月に約20万円ですから、どんな錬金術をしてきたのでしょうか。基本となるセオリーから紹介してもらいましょう。
セオリー1:金持ちの定義は「収入>支出」
「老後2000万円問題」が世間を騒がせましたが、その一方で数千万円の資産を保有しても「お金は貯まっていない、不安でたまらない」という人もいます。「お金持ちの定義って、なんだろう」「いくらの資産を貯めれば、お金持ちというのだろう」と思っている方もいらっしゃると思います。
私が考える「金持ち」の定義は、すごくシンプルです。あまりにも当たり前すぎることですが、「毎月の収入>毎月の支出」という状態が続くことです。ストック(残高)よりもフロー(増減額)重視です。
1億円以上貯めた人は金持ちには違いありませんが、仮に毎年1000万円ずつ支出したら10年で底をつきます。300万円の収入でも支出が200万円なら100万円貯金ができます。そう考えると、私はささやかでも平凡な暮らしを大切にしたいと思いました。資産づくりのために多くの時間を費やしたり、大変な思いをするのは性に合っていないんですよ。無理をせず、地道にやってきただけです。
セオリー2:固定費の預金をする
私が「3・4・5・6預金」と呼んでいた独自の預金方法があります。これは、毎月3000円、4000円、5000円、6000円の定期預金に加入し、口座振替で貯めていく方法です。例えば、固定資産税は1年に一度、車検は2年に一度というように、何年後にいくら支払うかが明確にわかっている固定費があります。
固定費は預金から支払えばいいと思っていても、“その時”の経済状態はまったく不明です。そこで考えたのが、固定費を個別に預金することでした。上記の金額別になったのは、たまたまです。
例えば、1年後に固定資産税を3万6000円支払うなら、12で割れば月々の積み立て額が3000円と割り出せます。車検が2年後に10万円なら、毎月4000円ずつ積み立てておけばいいと考えて、毎月4000円ずつ2年間積み立てるといった具合に、固定費分の数だけ預金口座を持ちました。
PCをはじめとする家電製品以外に、マイホームをお持ちの方はお風呂やガス釜やトイレのリフォーム代も30万円から50万円と高額ですので、利率は低いながらも、口座振替の定期預金にして、少しづつ貯めておくといいと思います。
仮に予想を超える大きな出費があり、解約しなければいけない状態になっても、必要な額だけの預金口座を解約すればいいという利便性からも固定費の口数預金はお勧めです。
セオリー3:ニワトリは全部食べない
セオリー1にリンクすることですが、「収入>支出」を金持ちの原則とすれば、残りは貯金となります。では、貯金をいくらすればいいのかと悩むものです。
貯金ぐせをつけるには、最初から貯金額を引いて、その額で生活することです。私の場合、セオリー2でお伝えした固定費預金をしていましたが、それだけでは不意の出費に備えることができません。
モノの本には貯金は収入の何割にするとか、毎月いくらにすればいいとか書かれていますが、各自の性格とか環境や事情によって違ってくると思います。
牛でも豚でもいいのですが、わかりやすくするために、ニワトリを例に話をします。夫婦2人と子供2人の家庭が、4人で1カ月食べきるのにちょうどいい大きさのニワトリを4羽もらったとします。
「あなたの家庭では1カ月で、何羽食べますか?」と聞かれたら、どう答えますか? 家族全員の胃袋を満たすなら4羽ですよね? でも、ニワトリにお金を産ませるという発想なら、どうでしょう? 丸々4羽食べますか? お金を生むため、何羽か残す必要が出てきませんか。食べるのを1羽とか2羽でおさえたいところですが、それじゃ飢えてしまうかもしれない。じゃ1羽ぐらい残しておくかと。
ニワトリは牛や豚と違って、毎日卵を産みます。卵は家族の食を満たしてくれる上、売ることもできる。有精卵にすれば、また新たなニワトリを産む。そして同じように1羽を残し、ニワトリを増やしていけば、そのうち3羽を残すことだって可能になる「コケコッコ算」が成立します。
コケコッコ算を貯金の話に戻します。4羽のうちの1羽を残すことにすると、割合でいえば25%が貯金の目安ということになります。実際、収入の1割だと、なかなかたまらない。3割になると、やっぱりキツイ。私の経験でも、収入の75~80%内で生活する習慣を身につけるとお金は貯まっていくように思います。
収入が少ないときは、1000円でも残すのは大変かもしれませんが、今は大変でも、まずは、この数字に近づけるように諦めずにトライしてみてください。
セオリー4:目的と時間
企業は中長期計画をたて、時間を区切って目標を掲げて経営を行います。これは個人の家計でも同じだと思います。毎月の生活のための貯金となると、「短期」を目的とする貯金です。子育て世代なら、教育費にかかるお金は「中期」、老後は「長期」になります。
時間の概念というのが大切ですが、これが抜け落ちている人が結構います。というのは、預ける金融商品選びに大いに関係があるからです。金利に目を奪われがちですが、さらに時間を考えて選ぶと、金融商品の選び方も違ってきます。ぜひ、目的と時間の両面から選ぶことを覚えてください。
セオリー5:情報と智恵は違う
SNSの発達で、世の中、情報が溢れ過ぎて、どれがいったい正しいのだろうと迷ってしまいます。情報収集が得意な方もたくさんいらっしゃいますが、私は単なる情報と智恵は違うと考えています。情報収集はSNSでできても、例えば、金融商品を検索して、A会社とB会社の商品がいいのはわかったけど、自分に一番マッチしているのはどちらか、組み合わせたらどうなるか、他に方法はないか、といったことは、やっぱりその分野のスペシャリストや実務をしている人に聞かないとわからない。それが智恵だと考えます。
過去にたくさん失敗をした経験から、智恵をもたらすのは人で、情報にお金を惜しむと、いい情報は集まらず、結果的に銭失いのくたびれ儲けになると実感しています。時間と労力をかけて出会った方に、私のお抱えの知恵袋になっていただき、資産形成に大きな影響を与えてもらいました。
セオリー6:人の集まる場所に行く
かつては大企業に勤めていましたから、人もモノもお金もあった環境で仕事をしていました。けれど、個人事業主になれば、待っていてもお客様は来てくださりません。世間も狭くなるし、いいことなどありません。
どうしたものかと悩んだ挙げ句、思い付いたのが人の集まる場所に行くことでした。趣味の会でもいいですが、やはり仕事の情報を得たいことから、積極的に異業種の人たちが集まる会に参加しました。異業種交流会の代表的なものには、ライオンズクラブとか、ロータリークラブ、商工会議所、中小企業家同友会などがあります。どこに行けばいいかわからない時は、異業種交流会と検索すれば膨大にヒットしますから、そのなかから良さそうなのをピックアップして参加しました。
随分参加しましたが、いろんな目的で参加する人もいますし、怪しげな勧誘を受けたこともあります。でも、志も高く、誠実で、向上心に溢れた人はいます。その人たちから、随分、いろんな情報を教えてもらいました。
やっぱり、この人と思う人に出会うまでは、時間も労力もお金もかかります。私はどちらかと言えば、のんびりしているので、1000人に会ったうちで本当に同じ価値観を分かち合える人が1人でもいればいいやと思っているから、諦めずにいろんなところに出かけられたのかもしれません。そうすることで、人を見る目も養われたように思います。緊急事態宣言が解除されたので新たな出会いに期待して、また出かけたいですね。会社員の方も人脈作りのために参加されるのもいいと思います。
セオリー7:付加価値をつける
一昔前はHPがまだ珍しく、それで差別化できた時代もありましたが、今はHPは基本のキですから、差別化を打ち出しにくい時代になりました。飛び込み訪問も電話セールスも今じゃ警戒されて、誰も応答してくれない世の中です。自分のスキルの差別化を図るのは、難しい時代になりました。どうすればお客様に当社や私を選んでいただけるのかということは、大いに悩むところです。
HPをつくったり、マーケティング会社を利用したりと、いろんなことに一通りチャレンジしましたが、経験則で申し上げるなら、やっぱりお客様にリピーターになっていただくこと、お客様からご紹介いただくことが一番手っ取り早く、確実だったように思います。
今は100円ショップでも、安さだけではなく、おしゃれや機能性を求められる時代です。どんな商売も、高い品質をご提供することに尽きると思い至りました。そのためには、自分に付加価値をつけることに意味があると考えました。といっても、売ってやってるという感覚は絶対にだめです。やはりお客様になってくださった方を大切にすることですよね。
世の中の多くの同業者の中から、私を選んでいただいてありがたいじゃないですか。依頼された仕事に全力で取り組むのは当然ですが、依頼のあった仕事をすれば終わりとは考えてもいません。振り返ってみれば、私がやってきたことは難しいことなど一つもない。当たり前のことを当たり前に地道に繰り返してきただけです。
その上で付加価値をつけることに意義があると思っています。付加価値といっても難しく考えるのではなく、目の前の仕事には一切の手抜きをせずに全力を注ぐ、お客様との連絡も迅速に、丁寧に、きちんとすることだと考えます。ただし、無茶を通そうとするお客様とは距離を置くようにしています。他のお客様に質の高いサービスを提供できなくなってしまいますから。
本当に、いいお客様や仲間に恵まれたことが収入や預金アップにつながっていったことに感謝しています。
(文=鬼塚眞子/一般社団法人日本保険ジャーナリスト協会代表、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表)