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米中貿易戦争、日本企業の業績低迷が鮮明…中国経済が急減速、中国シフトが裏目に

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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米中貿易戦争、日本企業の業績低迷が鮮明…中国経済が急減速、中国シフトが裏目にの画像1「Gettyimages」より

 10月10日、安川電機が2019年2月期の連結純利益が470億円になる見通しと発表した。これは、従来の見通しよりも30億円少ない下方修正だ。その背景には、中国での受注が想定よりも弱いことがあったと見られる。

 このところ、半導体生産のための動作制御装置とロボットの両面で、中国の需要は一時期ほどの勢いはなくなりつつある。同社の決算期変更の影響もあるが、今回の下方修正の影響は小さくない。

 この発表に驚いたアナリストは多かった。なぜなら、当面は中国を中心に省人化工場などの自動化に取り組む企業が増え、安川電機の業績は拡大基調を維持するとの見方が多かったからだ。米中貿易戦争への懸念はあるものの、年内は中国経済が底堅さを維持し国内電機メーカーの業績も従来計画に沿うと考える市場参加者も多かった。

 翌11日のアジア時間、台湾や韓国の株式市場は大きく下げた。その意味は、安川電機の業績見通し下方修正を受けて先行きを慎重に考える投資家が増えたということだ。両国とも、半導体を中心にIT関連の大手企業が多い。安川電機と同じように、中国での省人化投資の加速などを追い風に、業績を伸ばしてきた企業が多いのである。

 言い換えれば、ITハイテク分野での覇権強化を狙う中国の産業政策が、ロボットや半導体、半導体製造装置などの需要を高め、日台韓のGDP成長率の上昇を支えてきた。安川電機はその筆頭格だ。同社の見通し下方修正の背景にある要因は冷静に確認する必要がある。

中国の需要を取り込んできた安川電機

 安川電機は中国の省人化投資などの需要を取り込んで成長してきた。日本企業の多くが中国の省人化投資や環境関連投資などの恩恵を受けている。安川電機はその象徴的な企業といってよい。同社の事業構造を見ると、それがよくわかる。

 安川電機の事業分野は、モーションコントロール、ロボット、システムエンジニアリングの3つからなる。いずれの事業も、2025年にIT先端産業で世界トップの競争力を目指す中国の産業振興策(中国製造2025)にとって戦略的に重要だ。

 モーションコントロールとは、サーボモータなどの生産を行う事業をいう。サーボモータは指示した位置、速度に素早く機器などが従うようにコントロールする装置であり、工場の自動化には欠かすことができない。具体的にサーボモータは、半導体製造装置などの装置に組み込まれている。安川電機がわが国を代表するメカトロニクス企業(動作のメカニズムとエレクトロニクスを合わせた用語)と呼ばれる所以がここにある。

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