ビジネスジャーナル > 企業ニュース > 安倍政権の巨大支持組織で内紛激化  > 2ページ目
NEW
伊藤博敏「その裏に迫る」

安倍政権の巨大支持組織・神社本庁で内紛激化…靖国神社も天皇批判発言で異常事態

文=伊藤博敏/ジャーナリスト
【この記事のキーワード】, , ,

 その矛盾と不満が一気に噴き出したのが、田中・打田体制と親しい特定業者への宿舎の安値処分に異議を唱えた幹部職員をクビにしたときであり、「反田中派」が結成され、役員会などで田中批判が展開されるようになった。神社本庁内部と有力理事を押さえ支配体制が揺らぐことはなかったものの、田中総長に対する不満が鬱積するようになった。

「御代替わり」に影響も

 それが表面化したのが、9月11日の役員会。「クビにした幹部と和解したらどうか」と勧められてキレて、「今日限りで総長を退任する」と思わず口走った。ところが前言を翻し、10月3日には長老や顧問を招いた役員会を開催、「続投宣言」をして周囲を呆れさせた。

 なかでも開き直りに反発したのが、神社本庁の象徴的存在の鷹司尚武統理で、「今日の会議で(退任の意思が)覆されたのは、私は気持ちが悪い」と言い、「自分が言ったことには責任を持ってほしい」と、辞任勧告に等しい発言をした。
 
 これを受けて、全国から評議員が集まる10月23日の評議員会では、「退任に追い込まれるのではないか」という観測も流れた。だが、田中総長は居直りの覚悟を固めており、解任につながる「勧告決議」が出されたものの、「評議員会で話し合われる問題ではない」と一蹴。そのうえで、「動議は私にとって屈辱。140名を超える評議員の前で辱めを受けた」と恨みを口にした。

 おそらく来年6月の任期満了まで、田中総長は意地でも辞めない。それどころか4期12年という異例の長期政権を画策する可能性もある。人事権を握って神社本庁を掌握する田中氏にとって、それは可能かもしれない。各界に人脈がある打田氏のサポートもある。しかし、それでは反田中派はますます離反、統理の信頼を得ないまま「御代替わり」の各種行事に、神社本庁としてのスムーズな対応ができなくなる。

靖国神社、舌禍発言騒動

 靖国神社の迷走も、「時の流れ」がもたらした。

 徳川家末裔の徳川康久氏は、13年に第11代宮司に就任。以降、「みたままつり」から屋台を締め出すなど積極的な改革に踏み切ってきたが、行き過ぎて物議を醸したのが明治政府に反抗して戦った会津など賊軍の合祀を口にしたことだった。徳川氏の出自もあって、「靖国の存立基盤を否定する発言」と猛反発を受け、退任を迫られた。

伊藤博敏/ジャーナリスト

伊藤博敏/ジャーナリスト

ジャーナリスト。1955年、福岡県生まれ。東洋大学文学部哲学科卒業。編集プロダクション勤務を経て、1984年よりフリーに。経済事件などの圧倒的な取材力に定評がある。著書に『黒幕 巨大企業とマスコミがすがった「裏社会の案内人」』(小学館)、『鳩山一族 誰も書かなかったその内幕』(彩図社)、『「カネ儲け」至上主義が陥った「罠」』(講談社)、『トヨタ・ショック』(井上久男との共編著・講談社)など。近著『同和のドン 上田藤兵衞 「人権」と「暴力」の戦後史』(講談社)。

安倍政権の巨大支持組織・神社本庁で内紛激化…靖国神社も天皇批判発言で異常事態のページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!