自由に使える所得、全世代平均は月2万4千円…単身者は同居人ありより1万円も多い
所得のうち、生活に必要な支出を除いた、娯楽や貯金などにまわせる所得のことを「自由裁量所得」と呼ぶが、男女や世代でどの程度差があるのだろうか。
立教大学経営学部教授の有馬賢治氏はNTTコムオンラインと共同で、10~60代の男女に「消費者の自由裁量所得と使途の状況に関する調査」を実施。調査結果に対する有馬氏の分析から、国民の自由裁量所得と消費の現状を読み解いていこう。
詳細な調査結果は以下でご覧になれます。
https://research.nttcoms.com/database/data/002113
■調査データ
調査対象/「NTTコム リサーチ」登録モニター
調査方法/非公開型インターネットアンケート
調査期間/平成30年6月25日(月)~平成30年6月26日(火)
有効回答者数/2006名(回収率5.7%)
・回答者の属性
【性別】
男性:49.7%、女性:50.3%
【年代】
10代:15.6%、20代:15.7%、30代:16.2%、40代:17.2%、50代:17.3%、60代:18.0%
世代間で自由裁量所得に違いはなし
調査によると、全世代での1カ月あたりの自由裁量所得の平均額は2万4000円程度という結果となり、世代や男女、同居人の有無で比較してみると、10代(15~19歳)の平均額は約1万5000円とやや低めだが、20代以降は2万円台半ばから約2万8000円となった。
男女別の平均額では、男性が女性よりも約7000円、また単身居住者が同世代で同居ありのケースと比べて約1万円近くも多かった。以上のことから自由裁量所得の差は、世代間ではさほど大きくなく、概して男女間や、単身と同居ありで比較した際に大きく表れることがわかった。この結果について有馬氏は、以下のように分析する。
「日本社会の場合、収入というのは一般的には年齢とともに徐々に上がっていくものですが、自由裁量所得というのは、アルバイト収入がメインの10代を除けば、そこまで違いがないことが本調査でもわかりました。年齢が上がるにつれて必要経費も増えているのが要因でしょうか。自分だけにお金を使える一人暮らしという立場を考えれば、単身者のほうが同居人がいる人より自由裁量所得が多いのも、自然なことだと思われます。男女で差がみられるのは、平均収入の差がそのまま出ているかたちだと考えられるでしょう」(有馬氏)