商品は高級ガトーショコラのみ、実質4倍の値上げ…常識破りの決断で大成功の舞台裏
さらに、商品の一本化はデータ分析を容易にし、客層の広がりにもつながったという。女性客がメインのスイーツ店とは一線を画した高級ガトーショコラ。そのブランディングは男性客からの人気も集めた。ガトーショコラしかないことで「選びやすさ」を感じさせる。
理想ばかり追いかけてもビジネスはうまくいかない。余計なことをどんどん「やめる」ことがビジネスをシンプルにし、もっとも重要な部門に集中できる態勢をつくるのだ。
(2)プライス
なかなか収益が伸びないときに考えつくのは「値下げ」だ。値上げをすると既存客が減ってしまうかもしれないし、逆に値下げをすれば新たな客が舞い込んでくるかもしれない。
しかし、氏家氏はそれとは真逆の発想で成功を収める。値上げである。過去3回にわたってガトーショコラの値上げを断行し、容量は当初の半分で価格は実質4倍になった。しかし、販売は好調で経営状況は上向いている。
そのメリットは、まず「十分な利益が確保できるようになったこと」。材料やパッケージをグレードアップでき、さらに客層が明らかに変わったと述べる。また、14年から16年に製菓業界を襲った「バター不足」という危機も、単価を上げていたことで、なんとか原価率の高騰を乗り越えることができたという。
氏家氏が成功した理由のひとつに、「プロダクト」と「プライス」の掛け算が功を奏したということがいえるだろう。ガトーショコラに一本化し、それを値上げした。それが客やメディアに対して「わかりやすさ」「高級感」をアピールする大きな要素となったのだ。
(3)プレイス
最後は「プレイス」である。実はケンズカフェ東京は1店舗しかない。店が繁盛すると2号店、3号店と多店舗展開するのが当たり前とされているが、氏家氏はここでも、その当たり前を実践せずにビジネスを伸ばし続けている。
これは、氏家氏が複数店舗を展開しないメリットに目を向けた結果だ。ガトーショコラが手に入れられる場所が限定的であるということでブランド力が上がり、希少価値の高さから百貨店とのコラボレーションに発展した。
また、ガトーショコラの通販事業もやめている。それまで通販は売り上げの7割を占めていたが、理不尽なクレームもあり、ストレスになることも多かったそうだ。創造性を高めるためにも、客の声に振り回されないことが大事。氏家氏にとって一部の客の声も「余計なもの」だったのだ。
こうして、次々に「やめていく」ことで経営を上向かせたケンズカフェ東京。しかし、これだけではない。「やめる」ことと同じくらい重要なのが、「どこに集中すべきか」である。
第3回では、ケンズカフェ東京のプロモーション戦略について紹介する。
(文=編集部)
※本記事はPR記事です。
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