(写真:つのだよしお/アフロ)
マネックスグループが2018年4月に完全子会社にした仮想通貨交換業者、コインチェックは10月30日、停止していたサービスの一部を再開した。新規口座開設とビットコイン、イーサリアム・クラシックなど4種類の仮想通貨による入金、イーサリアム・クラシック、ライトコインなど3種類の仮想通貨の購入が可能になった。今秋から9種類の通貨の入出金や売買を再開した。
ただ、仮想通貨交換業登録の審査は長引き、金融庁は年末になってようやく改正資金決済法に基づく正式な登録業者として認める方針を固め、19年1月に登録業者にした。改正資金決済法に基づく厳密な審査が行われ、コインチェックはそれをクリアしたことになる。登録業者が加わるのは17年12月以来のことになる。
マネックスGは大規模な不正流出を起こしたコインチェックを、4月に36億円プラスアルファで買収し、この秋に一部のサービスの再開にこぎ着けた。この間、取り扱う仮想通貨の選定基準を見直したほか、外部の専門家の協力を得てシステムの再構築、サイバーセキュリティ推進部や全社のリスクを把握するリスク委員会を設置した。社員数は18年1月時点の2倍の250人に増員した。
しかし、早期に業務の全面再開ができなかったことから、システム開発費、人件費などのコストがかさんだ。そのため、コインチェックの業績は悪化。コインチェックの収益を反映するマネックスGのクリプトアセット事業の4~9月期の決算は赤字だった。出金・送金手数料などの受入手数料、仮想通貨の売買差益などのトレーディングの収益を合わせた営業収益(売上高に相当)は12億5600万円。販売費及び一般管理費は22億4400万円。そのほかの収益が1億4000万円。税引き前損益(セグメント損益)は8億4700万円の赤字だった。
半年前はまったく違っていた。同じ会社の決算なのかと信じられないほどの稼ぎぶりだった。
コインチェックの18年3月期決算は、営業収益が626億円で営業利益は537億円。1月に流出した仮想通貨ネムを個人投資家に補償したことで437億円の特別損失を計上したが、それでも純利益は63億円あった。17年3月期に比べて営業収益は64倍、営業利益は72倍。仮想通貨交換業者の凄まじい収益力に、世間は驚かされた。
マネックスグループは、この収益力の高さに目をつけ、4月にコインチェックを買収した。当初6月をメドにしていたコインチェックの仮想通貨交換業者への登録は、年末になってゴールが見えてきた。
マネックスの株価はコインチェックを材料視して激しく乱高下してきた。買収したコインチェックの収益が寄与するとの期待から、5月8日に735円の年初来高値をつけた。コインチェックの赤字決算を受けて、10月29日に一時、前週末比14%(64円)安の399円まで急落した。5月の高値から5割弱下落したことになる。
ところが10月30日、コインチェックが一部のサービスを再開すると発表したとたん、株価は後場に急騰。一時、前日比12%(80円)高の480円と反発した。12月20日の終値は367円である。
年間の高値は、前述の5月8日の735円。安値は1月4日の321円となっている。