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小笠原泰「日本は大丈夫か」

日産、ルノーによって日本人取締役“全員解任”の最悪シナリオも現実味

文=小笠原泰/明治大学国際日本学部教授
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 西川廣人社長は、この逃げ道を考えていた。西川社長は日産の起訴を受けて、昨年12月17日にコーポレート・ガバナンス(企業統治)体制と取締役報酬制度の見直しのために、独立した第三者の提言を取り入れる「ガバナンス改善特別委員会」を設置すると発表した。西川氏は「3月末までに決まらなくてもいいかなと思っている。十分に時間をとってほしい」とも話している 。つまり、ルノーが日産のガバナンス欠如を交渉に使うことを抑えるための時間稼ぎである。長期勾留のための特別背任による起訴と、その間に想定されるルノーによる日産のガバナンス欠如の指摘をかわすための特別委員会の設置という二段構えである。

 しかし、注意すべきは時間稼ぎのためにゴーン氏が会社法違反(特別背任)で起訴されたところで、有罪が確定するわけではないので、交渉上大きな変化は期待できない点である。西川社長が、金融商品取引法違反に加えて特別背任での起訴が加わることで、展開が変わり交渉が有利になると思っているとすれば、かなりおめでたいだろう。なぜなら、ゴーン氏は金商法違反ですでに起訴されているが、シナリオは日産に有利には働いてはいない。起訴が2つになったからといって、ルノーが日産に大きく譲歩すると期待することには無理がある。

時間稼ぎの背後にある奥の手とは

 問題は、この時間稼ぎはルノーとの交渉上、賢明な策となるかどうかである。現在の展開を見るに、ルノーへの攻勢ではなく守勢に回った感が拭えない。いや、優秀と言われる西川社長なので、時間稼ぎをするだけの奥の手があるのかもしれない。それは、当然ゴーン氏の特別背任での起訴ではない。

 恐らく西川社長が6月の株主総会まで時間稼ぎしたい理由は、2015年の第3次改定版修正RAMAで定められた内容があるからだろう。

「日産の取締役会が日産の年次総会に提出する、日産の取締役の任命、解任および報酬の支払いに関する決議に賛成票を投じ、日産の年次総会に日産の取締役会が承認していない決議を提出せず、そのような決議に賛成票を投じない」というルノーの役割に関するものである。これらの決議については、ルノーは日産の取締役会の勧告に従って投票する。そうしない場合、日産はルノーの株式を事前の同意を得ずに取得することができる。

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