中国は不正会計の天国か
3月、日本企業の中国子会社や合弁会社の不正が相次いで発覚した。
リズム時計工業は3月14日、中国子会社の不適切な会計処理の責任を取り、樋口孝二社長が引責辞任すると発表した。4月1日付で平取締役に退き、6月下旬の株主総会で取締役も退任する。
中国の子会社で、2年間で4億4000万円の原価を過少計上する不適切な会計処理が発覚。19年3月期の連結最終損益を1億5000万円の赤字に下方修正した。従来予想は9億5000万円の黒字だったが、中国子会社に関する調査費用などで6億円の特別損失を計上する。
帝国電機製作所は3月15日、中国の子会社などが架空取引や従業員の賞与などをめぐり不適切な会計処理を行っていたとして、宮地國雄会長の引責辞任や取締役の報酬返上などの処分を発表した。
ここ数年だけでも、日本郵船やLIXILグループといった大手企業が、中国での不正会計トラブルに直面した。
日本郵船は18年2月、現地採用の元幹部による業務上横領が発覚。17億円の特別損失を計上した。
LIXILグループは中国で水洗金具や衛生陶器の製造・販売を手掛ける子会社ジョウユウの破産手続きに伴い、14年3月期から16年3月期までの3年間で662億円の損失を計上した。ジョウユウは創業者一族による不正な会計処理と巨額の簿外債務が発覚したことが破産の引き金となった。“十八番”の海外M&A(合併・買収)で大失敗した「プロ経営者」、LIXILの藤森義明社長兼CEO(最高経営責任者)は解任された。
日本公認会計士協会によると、18年3月までの5年間に、日本企業の海外子会社で明らかになった不正会計のうち41%が中国。日本企業の多くは、中国が進出するにあたって現地化を進めている。現地法人のトップや要職に現地採用の人間を置く一方で、駐在する日本人を減らすケースが多い。日本の本社の目が届かないことから、日本企業が中国で食い物にされている実態が浮かび上がってくる。
(文=編集部)