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ライザップ、M&Aで膨らんだ傘下企業を縮小へ…業界関係者も注視

文=長井雄一朗/ライター
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ライザップ、M&Aで膨らんだ傘下企業を縮小へ…業界関係者も注視の画像1ライザップグループのロゴ(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 トレーニングジム大手・ライザップグループの経営再建が進んでいる。3月29日には、連結子会社であるタツミプランニングの戸建て住宅・リフォーム事業を高松建設に約15億円で売却することを発表した。会社分割によってタツミプランニングの戸建て住宅・リフォーム事業を新会社に継承し、新会社の全株式を高松建設に譲渡する。

 ライザップグループは元カルビー会長兼CEO(最高経営責任者)の松本晃取締役(構造改革担当)による構造改革の真っ最中だが、その松本取締役が6月22日付で特別顧問に退くことが発表された。2月に発表した2019年3月期第3四半期の決算は、18年11月から着手している構造改革により、営業利益マイナス57億9900万円(前年同期80億8200万円)、四半期利益マイナス81億2600万円(同52億100万円)と大幅な赤字を計上した。18年11月より新規のM&A(合併・買収)は凍結中で、今後は赤字企業などを整理し、本業を中心とした健康増進企業への再生を図るという。

 一時は積極的にM&Aを繰り返していたライザップグループ。その理由について、瀬戸健社長は「シナジー効果」と説明していたが、市場では疑問視する声も多かった。実際、M&Aのコンサルティング企業からも「ライザップグループのM&Aは失敗だったと思う」との意見があったという。

 岐路に立つライザップグループの経営状況について、東京商工リサーチ情報本部の平岩久明氏と二木章吉氏に聞いた。

“プロ経営者”が着手した構造改革

 有名タレントが劇的に痩せるテレビCMで有名になったライザップグループは、一見すると美容関係の企業に見えるが、健康、美容、アパレル、出版、小売り、建設など、あらゆる業種を束ねるコングロマリット(複合企業)である。しかし、買収した一部の企業に足を引っ張られた点は否めず、昨年6月に“プロ経営者”の松本取締役を招聘、構造改革に乗り出した。

 その松本取締役は、昨年11月の19年3月期連結業績予想発表の席で、ライザップグループについて「おもちゃ箱のような会社」「壊れているおもちゃが多く、ビジョンにそぐわない会社も多い」と表現した。一方、瀬戸社長は「投資回収や収益改善が困難な企業の縮小、撤退、売却を行う」として、3年間で85社に拡大した傘下企業の整理を一気に進めることを明言していた。

 そこで、ライザップグループは19年1月1日付で経営体制を刷新した。松本代表取締役(当時)が代表権を返上して構造改革担当取締役になるほか、M&Aを推進した2人の取締役が退任。新たに執行役員制度を導入し、社内取締役は瀬戸社長と松本取締役の2人だけとなった。

「構造改革の担当は松本取締役で、最終的に決定するのが瀬戸社長です」(平岩氏)

 今回、戸建て住宅・リフォーム事業を売却したタツミプランニングは年間400棟の戸建て住宅・リフォームを手がけている。13年からは太陽光発電事業に参入したが、固定買取価格の下落などで振るわず、19年第3四半期で7億3000万円の営業赤字を計上していた。一方の高松建設は土地活用提案による賃貸マンションの建設が中心で、近年は非マンションの建設受注も急速に伸ばしており、M&Aによる成長戦略も積極的に進めている。

「神奈川県では大きな商圏を保有するタツミプランニングは、デザインに優れたリフォーム・リニューアルを提案しています」(二木氏)

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