そのため、高松建設にとっては「いいM&Aになるだろう」と評価する声もある。
一方、タツミプランニングはメガソーラー・太陽光発電事業を中心にライザップグループの100%子会社として存続するが、同社の足を引っ張っていたのは太陽光発電事業だ。さらなる売却の可能性も取り沙汰されるが、ライザップグループの広報は「あらゆる方策を検討中」とコメントしているという。
このほか、ライザップグループは構造改革の一環として、今年1月にヘアケア・ボディケア用品の企画・販売子会社であるジャパンゲートウェイを萬楽庵に、18年12月に連結子会社のSDエンターテイメントのエンタメ事業を北海道SOキャピタルに、それぞれ売却している。
ライザップグループの今期の赤字を見ると、構造改革関連費用等(76億7000万円)が大きな割合を占めている。営業赤字を個別に見ると、非上場子会社はジャパンゲートウェイ25億円、タツミプランニング7億3000万円、サンケイリビング新聞社7億2000万円、上場子会社はワンダーコーポレーション30億1000万円、ぱど6億1000万円だ。このうち、ジャパンゲートウェイとタツミプランニングの一部事業は売却済みである。
改善が必要な3社とは
ライザップグループは、構造改革について業績へのインパクトが大きい部分から優先的に着手することを明らかにしている。そこで今、注目されているのがワンダーコーポレーションだ。同社は、ゲームソフトや書籍を扱うWonderGOO、CD・DVD販売の新星堂などを北関東中心に全国展開する、総合エンタメ企業である。
悩ましいのは新星堂の存在だ。今はCDやDVDが売れる時代ではない。日本レコード協会の調査によると、17年の音楽ソフト(オーディオレコード+音楽ビデオ)の総生産は、数量で前年比95%の2億245万枚/巻、金額で前年比94%の2320億円だった。ピークは04年の3753億円だ。ネット通販の急拡大によってリアル店舗は厳しい立場に置かれており、ゲームソフトの売り上げも減少している。
そのため、ワンダーコーポレーションは厳しい経営状況が続き、ライザップグループの足を引っ張っているのも明らかだ。収益性の高い業態への「選択と集中」を進め、事業構造を転換して再生するか、あるいは売却か……いずれにせよ、構造改革の本命と目されている。