1967年に似鳥家具店の名前で創業し、そこから一代で大型量販店へと成長しニトリ。直接メーカーから仕入れることで販売価格を抑えたり、海外からも商品を直輸入したりといった努力が実り、2003年には売上高1000億円・店舗数100という大台に乗った。2008年には売上高2000億円・店舗数200、2013年には売上高3000億円&店舗数300と、その業績を着実に伸ばし続けている。
ニトリを運営するニトリホールディングスの2019年2月期の決算によれば、売上高6081億3100万円(前年同期比6.3%増)、営業利益1007億7900万円(同7.9%増)、経常利益1030億5300万円(同8.6%増)。32期連続の増収増益ということで、企業としては安泰だろう。
そんなニトリは“お、ねだん以上”というキャッチフレーズが象徴するように、安価で高品質な商品をいくつも展開している。新生活を向かえる際には、家具・家電や日用品を揃えるならニトリで……と考える人も多いのではないだろうか。
しかしそんなニトリにも、低価格がゆえに使い勝手が悪かったり、品質に苦言を呈したくなったりするような商品が混ざっているのだ。今回「Business Journal 買うべき・買ってはいけない調査班」では、「この春、買ってはいけない日用品」というテーマを掲げ、5つの商品を独断で選んだ。ニトリで買い物をする際には、頭の片隅に入れておいていただきたい。
【この春、買ってはいけないニトリの日用品5選】
A4ファイルケース/399円(税込、以下同)
まず紹介するのは「A4ファイルケース」だ。オフィスなどで資料をまとめる際に重宝しそうだが、この商品はあまりおすすめできない。
なんの欠点もなさそうなシンプルなファイルケースかと思いきや、サイズが微妙に小さく、A4のクリアファイルがまっすぐ入らないのである。紙を直接収納する分には支障ないが、紙が折れないようクリアファイルに入れて管理している人からすると、一気に用途が狭まってしまう。
多少の誤差に目をつぶれば使えないものではないし、安さの割には頑丈なつくりなので、それだけに「惜しい」という感想が先行してしまった。
シリコントング/399円
自宅で料理をする際、ひとつ持っておくと何かと便利なシリコントングだが、ニトリで買うのであれば“使うのは誰なのか”を冷静に考えてほしい。
このトング、いざ握ってみると結構な硬さ。男性にとってはさほど違和感がなくても、非力な女性や子どもが使うとなると、なかなかのストレスになってしまいそうだ。
もちろん、トングとしての性能にはなんの問題もないし、先端がシリコン素材なので洗いやすさもある。低価格なので値段とのバランスが取れている商品ともいえるが、使う人を選んでしまうことは難点だろう。
珪藻土スティック/299円
調味料が水分を吸って固まってしまうのを防ぐための乾燥材として注目を浴びている珪藻土スティックだが、こちらもニトリで買うのは控えたほうがいいかもしれない。
ユーザーの声に耳を傾けてみると、塩や砂糖に対してはしっかり効果を発揮したという体験談が聞かれる一方で、刻みゆずや乾燥わかめなどには、あまり効き目がないようだ。さらに、一部では塩や砂糖でさえもダマができてしまったという報告もあり、そもそも品質にばらつきがある可能性もある。
実際に手に持ってみるとかなり軽く、簡単に割れてしまいそうなチープな印象がある。本当に効いてくれるのなら便利な商品といえそうだが、期待しすぎないほうがいいのかもしれない。
掛け布団カバー/999円~
快適な睡眠をサポートしてくれる「掛け布団カバー」も、ニトリで安いものを探して買うのは賢明ではないように思われる。
ニトリの掛け布団カバーは多種多様な品揃えで、値段によってデザインやサイズは異なるのだが、一番安い999円でポリエステル100%のもの(シングルサイズ)だと、さすがに生地が薄く、すぐに破れてしまいそうな感が否めなかった。
「もし破れたら新しく買い替えればいい」と割り切れるならともかく、同じものを長く愛用したいと考えるのであれば、もう少し初期投資しておくべきだろう。ちなみに、ニトリでは、綿100%やパイル生地などの高品質な掛け布団カバーも取り扱っている。
ウォールステッカー/498円~
ラストに取り上げるのは、部屋をオシャレにデコレーションするのにぴったりな「ウォールステッカー」。小さな子どもがいる人は、ニトリのものに限らず購入した経験があるのではないだろうか。
ニトリのウォールステッカーは、一度貼っても剥がしやすいのがウリとなっているが、粘着力が不足気味との声が上がっている。そのため、何度も貼り直すこともできず、放っておくと、そのうち自然と剥がれてくる可能性もある。
とはいえ、ステッカーのデザインは、犬や猫といった王道のキャラクターものから、シンデレラやアリスなどの物語をモチーフにしたものまで幅広い。値段も手頃なので、「ダメになったらまた別のデザインを買おう」とのスタンスで買い替えが苦にならない方にはお勧めできる。
安さの代償というべきか、多かれ少なかれ難アリな商品も散見される。もっとも、使い方を工夫したり、見方を変えたりすればクリアできる部分もあるだろう。今回取り上げた5商品も、あくまで「買うべき・買ってはいけない調査班」の独断によって選ばれているということは、改めて強調しておきたい。
(文・取材=「買うべき・買ってはいけない調査班」from A4studio)