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「特殊清掃業」の想像を絶する労働現場…孤独死、常軌を逸したゴミ屋敷

文=沼澤典史/清談社
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「特殊清掃業」の想像を絶する労働現場…孤独死、常軌を逸したゴミ屋敷の画像1「gettyimages」より

 超高齢社会を象徴する現象ともいえる「孤独死」。その増加に伴い、故人の部屋や自宅を清掃、消毒して原状回復する「特殊清掃業者」も増えている。業界団体が民間資格の認定制度を始めた5年前から業者数は15倍以上になっており、今や参入業者は全国で5000社を超えるという。

 しかし、その現場が生半可ではないことは容易に想像がつく。特殊清掃業者は清掃や消毒のほかに遺品整理などを請け負うこともあり、遺体が放置されていた孤独死の場合などは室内のにおいや汚れが尋常ではないという。特殊清掃業の実態や新規参入が増えている理由について、ゴミ屋敷清掃に実際に従事し、特殊清掃にも詳しいルポライターの村田らむ氏に聞いた。

常軌を逸した“ゴミ屋敷”の清掃は超過酷

 特殊清掃を行う業者は、死体清掃だけではなく、実際には、異常なほどゴミが蓄積した「ゴミ屋敷の清掃」を請け負うこともあるという。

「僕がいた清掃会社は、そもそもゴミ屋敷を専門にしていました。需要の高まりもあり、死体のあった部屋を清掃する特殊清掃も始めました。死体のあった部屋も多いですが、同じかそれ以上にゴミ屋敷は存在していて、業者に依頼する件数も多いです」(村田氏)

 一口にゴミ屋敷と言っても、一軒家に大量のゴミをため込むようなものから、生活できないほど汚れきったワンルームマンションまで、幅広い案件があるという。

「ゴミ屋敷清掃は肉体的なキツさがありますね。大きな現場では2トントラック2台が2往復しても足りず、さらに軽トラ2台分のゴミが出るときもありました。その何トンものゴミを手作業で処理して運ぶわけですから、相当キツい。どれを捨ててどれを残すかというのを逐一住人に確認するのも大変で、こだわりがある人の場合は、その確認作業だけで膨大な時間がかかります」(同)

 また、ゴミ屋敷は家主の性別によって汚れ方に傾向があるという。

「男性が住んでいる部屋の場合、とにかく物が多くて身動きが取れなくなっているようなケースが多いですね。女性の場合は、物はそんなに多くないのですが、とにかく不潔。食べ残しの生ゴミや使用済みの生理用品、汚れた服などが部屋に散乱していたりする場合が多いです」(同)

 ゴミ屋敷清掃は季節に関係なく依頼があるが、死体清掃には「繁忙期」があるという。

「夏ですね。暑くなってくると死体の腐敗が進むのが早く、異臭が出るので発見されることが増えるんです。冬に2カ月放置されるよりも、夏の1週間放置のほうが状態が悪くなる場合があります」(同)

無数のハエ、ずり落ちた頭皮、浴槽に溶けた体液

 業者に依頼される死体清掃のほとんどは、事件性のない孤独死だという。発見されると、まず警察が実況見分を行い、遺体は病院から葬儀業者に運ばれる。こうしたケースでの主な清掃の目的は、においや床についた体液のシミなどを除去して、遺族が遺品を整理できる状態にすることだという。

「部屋に入るとハエが無数にいる場合が多いので、まずは殺虫剤で処理します。それから床などについたシミを取っていくのですが、亡くなった方の体重が重いと部屋中に体液が広がっているので大変ですね。遺体は警察が先に搬出してくれているのですが、その際の“落とし物”がけっこうあるんです。ずり落ちてしまった頭皮の一部や小さな骨などが落ちていることも多く、それらの遺物はあとで専門の処分場へ送るので、まとめておかないといけません」(同)

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