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社内で経費の取り締まり強化していたテレ朝社長、経費で私的ゴルフやり辞任の顛末

文=Business Journal編集部
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テレビ朝日本社
テレビ朝日本社(「Wikipedia」より)

 テレビ朝日ホールディングス(HD)は10日、テレビ朝日代表取締役社長の亀山慶二氏の辞任を発表した。同日開かれた取締役会で、亀山氏から取締役辞任の申し出があり、受理したという。早河洋会長が社長を兼任する。

 同社では昨年の東京オリンピック閉会式後に同社スポーツ局社員・スタッフが東京都内のカラオケ店で“打ち上げ”を開き、酔った社員が転落して負傷する事故発生していた。

スポーツ局長と不和?会社経費の私的使用

 テレビ朝日HDの発表によると、昨年8月以降、前述のようなスポーツ局の社員・スタッフによる不祥事が連続して発覚したことを受け、12月に再発防止策を策定する目的で、同社役職員によって構成される『役職員の業務監査・検証委員会』を設置。コーポレートガバナンスの観点からスポーツ局のガバナンスを中心に監査・検証していたのだという。

 その過程で、スポーツ局統括でもある亀山氏の「業務執行上の不適切な行為」が明らかになったのだという。発表によると、亀山氏本人及び社内関係者の事情聴取、伝票等の関係書類の精査を実施した結果、以下の事実が確認されたのだという。以下、プレスリリースを原文ママで引用する。

「(1) スポーツ局長との意思疎通の欠如

 亀山氏は、テレビ朝日社長に就任した 2019 年6月以降、スポーツ局内において報告会を主催し、ほぼ毎週スポーツ局内の主要な役職者を招集して協議していました。報告会は、会社として正式に設置した機関ではありませんが、スポーツ局内の意思疎通・情報共有・円滑な指揮命令の伝達にとって、重要な役割を果たすことが期待されておりました。しかしながら亀山氏は、合理的な理由もなくスポーツ局長をこの報告会に参加させないだけでなく、スポーツ局長との日常的な意思疎通も十分に行っていなかったため、スポーツ局内の指揮命令系統の混乱を招き、職場環境を悪化させる事態となっていました。

(2) 不適正な伝票処理による会社経費の私的使用

 亀山氏は、当社社長就任後、スポーツイベントへの出席・営業活動のため、会社の費用負担で国内各地に出張していました。しかしながら、その中には業務との関連が認められないにもかかわらず、その際の会食・ゴルフ等の費用を含め、あたかも業務上の関連があるかのように仮装し、会社の費用として経費の精算をしていた事例があったことが確認されました。

(3) その他

 上記(2)の不適切な伝票処理以外にも、亀山氏には、代表取締役社長として不適切であって、業務の遂行に支障をきたすおそれのある行為が確認され、取締役の善管注意義務に照らして問題視せざるを得ないものがありました」

 同発表はそのうえで、「亀山氏の個々の行為は、いずれもそれ自体としては必ずしも重大と評価されるものではありません」としながらも、「放送事業という公益性の高い事業を営むテレビ朝日の社長には高い倫理観が求められること」や「スポーツ局内の指揮命令系統を混乱させ、職場環境を悪化させた」、「他の役職員の範となるべき社長自らが不適切な行為に及んでいたこと」を上げ、「スポーツ局内の規律を著しく弛緩させるものであって、続発したスポーツ局内での不祥事の遠因となったと評価せざるを得ず、検証委員会としては、この点において、亀山氏の行為はテレビ朝日社長として許されるものではないと判断しております」とした。

現場にはコンプラ強化を求めていたのに……

 テレビ朝日をめぐっては、大阪府警が8日、経済産業省の「IT導入補助金」900万円詐取した疑いで、同社セールスプロモーション局ソリューション推進部長の三田研人容疑者を逮捕した。一連の事態に、同社社員や同社取引先の関係者に動揺が走っている。広告代理店関係者は次のように驚く。

「三田さんの逮捕に加え、亀山氏が社長辞任とは……。三田さんはテレ朝社内では“やり手”で通っていた人です。正直、雲の上の人ですから、そんなことしてお金を稼がなくてはいけないような経済状況の立場だったのか首をかしげますが、“稼ぐこと”自体に興味があったのかもしれませんね。

 今回の亀山社長の辞任にしてもそうですが、テレ朝社内ではコンプラで“締める”ところと、“局上層部の旧態依然とした金の稼ぎ方や使い方”がチグハグな状態にあったのではないでしょうか。一連の不祥事はそれぞれ個別案件ではあるけれど、根底ではつながっている気がします」

 一方、テレ朝報道局関係者は次のように語る。

「三田さんの逮捕で、うちの系列局の警察担当記者は、みんな赤っ恥ですよ。しばらく警視庁や道府警本部の幹部から嫌味を言われるでしょうね。

 社長(亀山氏、以下同)とスポーツ局長の微妙な確執は前から聞いていました。経営は現場に口を出したいので、なんとかして現場のスタッフや中堅幹部を取り込もうとします。そうした主導権争いが、今回の発表にある『意思疎通の欠如』なんでしょう。

 今はどこのマスコミも似たような状況でしょうが、報道や番組制作の現場に対し、社長や早河会長はコンプラの観点から、会社経費の使い方を厳しく取り締まってきました。取材経費であっても、“これはコンプラ的に厳しいな”と思ったら請求せず、自腹を切ります。製作現場では製作費そのものの削減に加え、スタッフや出演者との打ち合わせ費や交際費なども以前と比べれば経理を通りにくくなっています。ゴルフをやる局員自体、昔に比べれば少なくなってきたと思いますよ。

 そんな中、社長自らがゴルフの費用を会社経費で払っていたとは……」

 今回の亀山氏の辞任で不祥事続きのテレ朝社内は正常化され、一新されるのだろうか。

(文=Business Journal編集部)

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