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ヤマダ、最大ライバル・アマゾンと提携の勝算…Fire TV&アレクサ内蔵テレビ販売

文=Business Journal編集部
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サイト「ヤマダウェブコム」より

 家電量販店最大手のヤマダホールディングス(HD)とネット通販最大手のアマゾンジャパンが手を結び、アマゾンのネット動画配信機器「Fire TV」を内蔵した国内初のスマートテレビの販売をヤマダの店舗や、アマゾンの自社サイトで開始した。ヤマダはフナイ製のプライベートブランド(PB)のラインナップに加えた。

 スマートテレビには音声認識AI(人工知能)「アレクサ」を搭載し、リモコンにタイトル名やジャンル名、俳優の名前を話しかけて動画コンテンツを検索したり、地上波のチャンネルを変更できる手軽さが売りだ。家族ごとのアカウントが登録でき、自分の好きなチャンネル一覧に瞬時に切り替えることもできる。

 32~55インチまでの4つの画面のサイズで、価格は税込み5万4780円~14万2780円(税込)。年間販売台数(目標)は25万台。薄型テレビの国内出荷台数の5%程度を奪いたいと考えている。ヤマダHDは2010年以降、EC、住宅建設、インテリア、金融、リサイクルなど周辺事業を拡大し、18年以降の「暮らしまるごと」戦略に集約していた。この戦略の延長線上に大塚家具の買収があったといえよう。

 11年3月期に売上高2兆1532億円、営業利益1227億円と過去最高を記録したが、この期をピークに業績は下降線をたどる。新たな強敵が出現したからだ。アマゾン、楽天などのネット通販企業だ。ネット通販は10年ごろから家電量販店から市場を奪っており、ネット通販市場は右肩上がりの2ケタ成長を遂げている。ヤマダの敵は同業他社ではない。ネット通販会社なのだ。

昨日の敵は今日の友となるのか?

 ヤマダHDは最大のライバルであるアマゾンと提携した。2月17日、ヤマダHDの山田昇会長兼社長とアマゾンジャパンのジャスパー・チャン社長が出席し、スマートテレビを報道陣に公開した。

 オンラインで開催された会見で、ヤマダの山田社長に提携の真意を問う質問が相次いだ。「『アマゾンさんと組んだほうが得ですよ』という話があった。付き合うなかで、お客様第一という方向性が共通していることがわかり、提携しても大丈夫と考えた」(山田社長)と答えた。

 また、「アマゾンさんとの協業で、先取りした価値を生み出していきたい」(山田社長)と、アマゾンのソフト開発力に期待していることを示唆した。人工知能(AI)スピーカー「エコー」とつながる家電の独占販売など、ソフト面でアマゾンの力を借りたいとも述べた。

フナイブランドの強化が急務

 ヤマダがスマートテレビを売る本当の狙いは、PB商品の強化だといわれている。スマートテレビの開発プロジェクトには、スタート当初から船井電機(大阪府大東市)が参加。テレビの開発・製造は船井が担当した。北米向けの低価格液晶テレビメーカーとして知られる船井とヤマダは2016年、独占販売契約を結び、PBで廉価なテレビを販売してきた。

 山田社長は当初、「フナイブランドで国内のテレビ全体のシェアの20%を目指す」と鼻息が荒かったが、売れ行きは芳しくない。船井が主戦場とする北米では中国や韓国のテレビメーカーが市場を席巻し、船井の収益は急激に悪化。創業家が船井を会社ごと売却。東京の出版会社、秀和システム(非上場)の傘下に入り、21年8月、東証1部から上場廃止になった。

 船井は今回、ヤマダアマゾンが共同開発するスマートテレビの製造を担い、再建に取り組む。「ソフトなど足りないところはアマゾンで補ってもらって商品力を強くする」(山田社長)。アマゾンが求めたのはヤマダの販売網だ。チャン氏は「ヤマダの強みは膨大な販売の知識」と説明した。テレビのような家具に近い家電商品は、実際に店舗で見たり、触れたりしたいという消費者のニーズが販売を促進する。全国約1000店舗の販売網を持つヤマダと連携すれば、リアル店舗でアマゾンの存在感が増す。

 米国ではすでに最大手同士の連合が進んでいる。18年、米アマゾン・ドット・コムと米家電量販店のベストバイが組み、Fire TV内蔵スマートテレビの独占販売に乗り出した。ベストバイは3年で売上高が約1割伸びており、激しい競争のなかでも成長を続けている。

 アマゾンがAIスピーカー「エコー」とECを連動させることができる家電を本格的に投入できれば、アマゾンが国内市場でも主導権を握れる。米アップルがスマートフォンの生産を台湾企業に委託し、日本の大手キャリア(NTTドコモ、KDDI・au、ソフトバンク)が販売しているのと同じ構図を、アマゾンはスマート家電で描くことができる。巨大IT企業が日本の家電の業界地図を塗り替えることになるのだろうか。

(文=Business Journal編集部)

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