2013年夏、記録的な猛暑の中、今年も全国各地で音楽フェスティバル(以下、フェス)が開催された。97年に開催されたフジロック・フェスティバル(以下、フジロック)が嚆矢となり、今や日本の夏の恒例行事となった感もあるフェス。00年から始まったロック・イン・ジャパン・フェスティバル(以下、RIJF)の成功をきっかけに全国各地にロックフェスが乱立、00年代初頭にはフェスバブルが騒がれたものの、ここ数年は広島のSET STOCKや福岡のHIGHER GROUNDなど地方フェスのクローズが相次ぎ、フェスビジネスが限界を迎えているという声も囁かれている。
「フェスバブル崩壊のキッカケのひとつは、サマーソニック(以下、サマソニ)でしょう。07年にヘッドライナークラスのアーティストの招聘に失敗し、運営元であるクリエイティブマンが多額の借金を背負った。どうやらその苦境に対してエイベックスから資金面での援助があったらしく、フェスがかなりの博打ビジネスであることに各地のプロモーターが気付いた」(フェス関係者)
そんな中、今年の5月にはTOKYOROCKS2013が中止となった。5月11・12日に東京・味の素スタジアムでの開催が決定し、ブラー、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインなど通好み の出演が決まっていたが、前売りチケットの当初売り上げが1000枚程度という惨憺たる状況に陥り、運営サイドにそれをきっかけとした内紛が起こった結果だという。
「フジロックやRIJFが田舎で開催しているのにあれだけ人を集めてるんだから、東京でやればさらに集まるだろうという考えだったんでしょう。しかし、むしろ都市部にはないロケーション、明快なコンセプトがあるからこそ人はフェスに集まるのであって、東京への近さがただそのままメリットになるわけではない」(音楽関係者)
別の関係者も、「海外アーティストはコストもリスクも高く、今の音楽ファンに対して強い訴求力を持っているのはレディー・ガガくらいでは」と語るのである。
では、何が重要なのか? それは「フェスの中でいかに物語を作れるか」だと音楽関係者は口をそろえる。