ビジネスジャーナル > 企業ニュース > 新宿名物「百果園」の跡地がスゴい?
NEW

新宿名物「百果園」の跡地がスゴいことに…喫煙OKの昭和な居酒屋「屋台苑」に突撃

文=清談社
【この記事のキーワード】, , ,
「新宿 屋台苑」の外観
「新宿 屋台苑」の外観

 新宿駅東口にそびえ立つ、大きなビジョンが目印の「新宿アルタ」(正式名称は「新宿ダイビル」)。駅を出て横断歩道を渡った場所にあり、周辺よりも人通りが少ないことから、待ち合わせの定番スポットとして知られている。

 2021年7月、アルタ前から歌舞伎町へと続く通りを挟んだ場所に「クロス新宿ビル」が誕生。コーヒー専門店の猿田彦珈琲がプロデュースする「喫茶 パステト」などを擁するビルで、屋上部の巨大ビジョンに映る「3D巨大猫」が新たな名物となっている。

 そんな新宿駅東口付近の新旧ランドマークに挟まれた場所に、今夏オープンしたのが「新宿 屋台苑」だ。かつてこの場所には、世界の果物や「食べ歩きフルーツ串」を並べた青果店「百果園 新宿店」があった。

消えた新宿名物の「フルーツ串」

「百果園 新宿店」といえば、昭和の雰囲気を残した店構えと、パイナップル、いちご、メロンなどを串に刺したフルーツ串の印象が強く、新宿東口の名物店といえる存在だった。店先にはドリアンの甘くて強烈な香りが漂い、コロナ禍前のインバウンド全盛期には、外国人観光客がこぞってフルーツ串を頬張っている姿が目についた。

 しかし、いつからか百果園のシャッターが閉まりっぱなしになり、あの妖しい香りはどこかへ消えてしまった。

 同店の公式インスタグラムを見てみると、2020年4月に1回目の緊急事態宣言が発令された際に「宣言が明けるまで臨時休業する」とアナウンスされている。宣言が解除された頃の同年5月9日の投稿を見ると「新型コロナウイルス感染拡大防止の為、4月9日(木)より当面の間臨時休業とさせていただきます」との投稿が。その後、同年7月22日に営業を再開する旨の投稿がされているが、それ以降の投稿はなく、2022年の春頃までシャッターは降りたままだった。

 そんな百果園の周りを工事用のブルーシートが囲うようになったのは、2022年の春頃。改装工事を進め、満を持してリニューアルオープンかと思われたが、7月下旬頃に覆っていたシートが外されて内装が見えるようになると、そこにはすっかり変わり果てた店舗ができ上がっていた。

 所狭しとフルーツが並んでいた細長い敷地には4軒の屋台が並んでおり、「百果園」と書かれた新宿通りに面する看板も「食の新宿 屋台苑」という文字に変わっていた。

 この頃、上野にある「上野第一百果園(アメ横)」のツイッターでは「各方面から新宿店についての問い合わせをいただいていますが、来月になるといくつかお答えできると思いますのでよろしくお願いいたします」と投稿されている。

 改装工事がここまで進んでいる時点で、多くの人たちが百果園はどうなるのだろうと気をもんでいたが、後日、公式インスタグラムのプロフィール欄にて「2022年7月31日付での閉店」が正式にアナウンスされ、「百果園 新宿店」はその長い歴史に幕を下ろした。

 かくして、8月1日に「新宿 屋台苑」がオープンした。細長い間取りで、まさかの2階建て。店内には貝屋台「貝道」、和牛焼肉屋台「新宿苑」、麺屋台「辛麺」、朝挽き焼き鳥屋台「布袋」と4つの屋台が設置されており、さまざまな料理が楽しめるという。

 外観には提灯がビッシリと並べられ、店全体がボンヤリと発光しているかのよう。この特徴的なビジュアルでピンと来る人もいるかもしれないが、これは「恵比寿横丁」や「渋谷横丁」など、各地で“ネオ横丁”を仕掛けている浜倉的商店製作所のプロデュースによるものだ。

新宿名物「百果園」の跡地がスゴいことに…喫煙OKの昭和な居酒屋「屋台苑」に突撃の画像1

 凝った内装はともかく、場所的には新宿の一等地。利益を上げるために法外な価格設定になっているかもしれないとの不安を抱えつつ、実際に屋台苑に行ってみた。

全席喫煙OK、いやらしい価格設定

 友人とアルタ前で待ち合わせして、歩いて10秒で店に到着。この異様なアクセスの良さは、この店の最大の売りだろう。店内には4軒の屋台があり、それを囲むように席が設けられているのだが、この時点で座っている人はいなかった。周辺の普通のテーブル席には大学生らしき集団と2人組の外国人、そして一人飲みをしている中年男性。ただし、この席は店外のクロス新宿ビルの方を向いており、行き交う通行人から丸見えだ。

 今回はせっかくなので屋台まわりの席に座りたいと伝えようとしたのだが、店員に「2名様ですね、2階席にどうぞ。2階2名様でーす!」と通されてしまい、しぶしぶ階段を上がることに。2階は4人掛けの席が8つ、6人掛けの席が2つあり、半分近くが埋まっていた。我々の隣には水商売らしき女性2人組、背後にはホスト風の男性と派手なメイクの女性が座っており、“これぞ新宿”という客層であった。

新宿名物「百果園」の跡地がスゴいことに…喫煙OKの昭和な居酒屋「屋台苑」に突撃の画像2

 外から見ると派手だが、2階席には“屋台”のテイストはほぼなく、よくある大衆居酒屋と変わらない。お通しなし、1ドリンク1フード制とのことで、まずは最初の1杯を注文。以降はQRコードを読み取って、スマホで注文するモバイルオーダー方式だ。

新宿名物「百果園」の跡地がスゴいことに…喫煙OKの昭和な居酒屋「屋台苑」に突撃の画像3

 価格は恐れていたほどではないが、生ビールが1杯659円と少し割高な印象。フードメニューも同様の店舗より2~3割高めだが、ほとんどが末尾9円設定で、少しでも安く見せようという根性にいやらしさを感じる。

 店員に聞いたところ、どこの席に座ってもすべての屋台の料理が頼めるそうなので、さまざまなジャンルの味が楽しめる点はうれしい。

 モバイルオーダーというコロナ後の時流に合った注文方法を採用しているかと思えば、なんと全席喫煙OKという昭和スタイル。さらに、店員はあごマスクで「このドリンク、何卓でしたっけ?」などと大きな声を掛け合い、手が空くと和気あいあいとおしゃべりしているなど、まるで海の家のようなノリ。よくいえばアットホームな雰囲気だが、この接客態度は悪い意味で懐かしい雰囲気が漂う。

 メニューは取り立てて珍しいものはなく、生産地が明記されている点は令和っぽいが、味は平成末期の均一居酒屋で出てくるようなクオリティ。悪くはないが良くもないといった風情で、これは食事を味わうというより、安酒を煽って雰囲気を楽しむのが正解なのだろう。

新宿名物「百果園」の跡地がスゴいことに…喫煙OKの昭和な居酒屋「屋台苑」に突撃の画像4新宿名物「百果園」の跡地がスゴいことに…喫煙OKの昭和な居酒屋「屋台苑」に突撃の画像5

歌舞伎町の最深部にもネオ横丁が誕生へ

 ひとしきり飲み食いしたが、「ここはかつて百果園だった」と思わなければ、いたって普通の居酒屋という印象だった。せめてメニューに「フルーツ串」を採用するなど、歴史的なつながりを思わせるような演出があると、年配客にもアピールできるのではないだろうか。

 この日は満席になることはなかったが、外国人観光客が増え、新宿ならではの雑多な人々が肩を寄せ合って気軽に声を掛け合いながら飲めるようになれば、新たな名物スポットとなる可能性はありそうだな、と思いながら店を後にした。

 歌舞伎町の最深部、新宿ミラノ座の跡地に建設中の48階建て超高層ビル「東急歌舞伎町タワー」にも、浜倉的商店製作所が運営するエンターテイメントフードホール「歌舞伎横丁(仮)」が出店する予定だという。

 かつてのリアル横丁を知っている世代ほど、このようなネオ横丁は「違う」と言いたくなるが、今後はこのようなスタイルが定番になっていくのだろう。

新宿 屋台苑」周辺にはもうドリアンの香りは漂っていないが、まだ新宿っぽい匂いはギリギリ残っている。現状は、通りに面した席に陣取り、女性に声をかけて撃沈する若者やスカウトマンと女性の攻防戦を肴に飲む、という楽しみ方が最適かもしれない。

清談社

清談社

せいだんしゃ/紙媒体、WEBメディアの企画、編集、原稿執筆などを手がける編集プロダクション。特徴はオフィスに猫が4匹いること。
株式会社清談社

新宿名物「百果園」の跡地がスゴいことに…喫煙OKの昭和な居酒屋「屋台苑」に突撃のページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!