大手芸能事務所のジャニーズ事務所とグループ会社が大量の人材募集をかけているのではないかと話題になっている。背景には、人材が定着せずに社員の離職が続いていることがあるのではという声も伝わってくる。いったい今、ジャニーズの内部で何か起きているのだろうか――。
設立から61年目を迎えたジャニーズ事務所が今、揺れている。嵐の活動休止やV6の解散に加え、ここ数年は錦戸亮(元関ジャニ∞)、中居正広(元SMAP)、山下智久、長瀬智也(元TOKIO)、岩橋玄樹(元King&Prince)、近藤真彦、森田剛(元V6)など人気タレントの退所が相次いでいたが、昨年11月にはKing&Prince(キンプリ)の平野紫耀、岸優太、神宮寺勇太がグループから脱退し、事務所を退社すると発表され、激震が走ったことも記憶に新しい。
岐路に立つ事務所の舵取りを担うのが、創業者・メリー喜多川元名誉会長の娘で現社長の藤島ジュリー景子社長だ。嵐やTOKIOなどのマネジメントを取り仕切っていたジュリー氏は、前社長のジャニー喜多川氏の死去を受けて2019年9月に社長に就任。今月には関連会社4社の会長にも就任したが、先月には、事務所が毎年タレントに渡していた「お年玉」を交際費として会社の経費に計上していた件について、東京国税局から経費には当たらないとして社長の所得税の源泉徴収漏れを指摘され、追徴課税を受けていたことが発覚。また、キンプリ分裂に関する報道をめぐって「週刊文春」の発行元である文藝春秋を名誉毀損で提訴し、事務所とジュリー社長に5500万円ずつを支払うよう求めていたことも明らかになるなど、ジュリー社長本人もまた渦中に置かれている。
「事務所は訴状のなかで、ジュリー社長に関する記述が名誉棄損に当たるとして、ジュリー社長個人にも賠償金を支払うよう求めている。タレントを守る立場にいる芸能事務所が所属タレントに関する報道を受けてメディアを訴えることはあるが、プロダクションの経営トップが自身のことについて書かれた内容に対して訴え、さらに経営者個人に賠償金を払えと要求するケースは、かなりレア。メリーさんも副社長時代はさんざんメディアから叩かれたこともあったが、古参の元宣伝部長を通じてクレームを入れることはあっても、自分に関する報道について訴訟を起こすようなことはなかったのでは」(スポーツ紙記者)
トップダウン経営
そのジャニーズ事務所とグループ会社が今、大量の人材募集を行っているとして話題になっているが、ネット上で確認できるものとしては以下の企業、職種があげられる。
・ジャニーズ事務所
マネージャー職、ジャニーズファミリークラブスタッフ、番組プロデューサー・AP、WEBコンテンツ企画・制作ディレクター
・エム・シィオー
経理職、ロジスティクス担当者、販売・契約管理担当者
このほか、音楽・映像ソフトの企画・制作・発売などを手掛けるジェイ・ストームはほぼ毎年、新卒採用も行っている。
「マネージャーの入れ替わりが激しいため、常に人手不足で募集をかけているというのは業界では有名な話。ドラマのキャスティングなど大きな仕事はジュリー社長に近いチーフマネジャーたちが仕切り、現場のマネージャーにはトップダウンで降りてくるだけ。本来マネージャーの仕事は、タレントの意向も考慮しながらどうやって売り込んでいくのか戦略を考えながらアクションを重ねていくものだが、タレントや現場マネージャーの意向が聞き入れられることは少なく、結局、マネージャーは『単なる付き人、運転手』扱いになる。そんな状況が何年も続くため、中途採用で入って来た優秀なマネージャーなんかも次々と辞めてしまい、人材が定着しない。
ちなみにKAT-TUNの亀梨和也が今月、Instagramのアカウントを開設したことが話題になったが、亀梨はずっと前からインスタをやりたいと言っていたものの事務所からなかなか認めてもらえなかった。亀梨クラスのタレントですら自分の意向を通すのが難しいほど、ジャニーズのトップダウン体質は強い。もっとも、これだけ組織が大きくなるとさまざまな『しがらみ』があり仕方がない面もあるのも事実だが」(スポーツ紙記者)
また、芸能事務所関係者はいう。
「ジュリー社長は自分に意見を言ってくる人が苦手らしく、周りはいつも同じ顔触れのイエスマンだけになる。その壁は、副社長という肩書を持っていた滝沢秀明ですら破れず、退所という道を選んだ。そして、そういうイエスマンたちは大きな決定権を持ち待遇も上がっていくが、それ以外の現場のマネージャーなどは、いつまでも待遇は上がらず、モチベーションも上がらずに他社に転職してしまうと漏れ伝わってくる。もともとこの業界はどのプロダクションでも人の出入りが多いが、特にジャニーズは顕著だといわれている」
ジャニーズ事務所の積極的な人材募集は当面続きそうだ。
(文=Business Journal編集部)