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「ジャニーズの要望で記者リスト作成」報道、同社が否定…ジュリー氏の行動も

文=Business Journal編集部
「ジャニーズの要望で記者リスト作成」報道、同社が否定…ジュリー氏の行動もの画像1
10月2日、ジャニーズ事務所の会見

 2日に行われた、創業者のジャニー喜多川元社長の問題をめぐるジャニーズ事務所の会見で、質問の指名対象から除外する記者を記した「NG記者リスト」が作成されていた問題。同事務所は7日、会見の運営を委託されていた外資系PR会社が同事務所の指示により当該リストを作成したとする一部メディア報道を否定するコメントを発表。また、会見に欠席した藤島ジュリー景子前社長が当日、会見会場にいたという報道も否定した。当該リストをめぐっては、PR会社が「配慮に基づく進行を行うことはジャニーズ事務所側も了承していた」「会見の進め方について同事務所と調整していた」としており(5日付「読売新聞」記事より)、同事務所がどこまで会見の運営内容を事前に把握していたのかが焦点となっていたが、当該リスト作成への関与については改めて否定した格好となった。

 事の発端となったのは、NHKのスクープだった。5日、会見で質問の指名対象から除外する記者を記したリストが作成されていたとNHKが報道。会見会場でリストを持つPR会社スタッフの映像も報じられたが、ジャニーズ事務所はメディア各社の取材に対し、

「会見前々日の会議で、本件について打ち合わせが行われた際、媒体リストを持ってこられて、そこにNGと書いてあったので井ノ原が、『これどういう意味ですか?絶対当てないとダメですよ』と言いました。するとPR会社が、では前半ではなく後半で当てるようにします。と答えました」(5日付サンケイスポーツ記事より)

「今回流出した資料は、弊社の関係者は誰も関与しておりません。見てもおりません」(同)

「この外資系PR会社にこのことを謝罪してほしいとお願いしましたが、外資なので本国の許可が必要で調整に時間がかかると言われました」(同)

と回答。さらに同事務所は5日、公式サイト上で声明を発表したのだが、先行してメディア各社の取材に対し出していた回答に書かれていた「PR会社が、では前半ではなく後半で当てるようにします。と答えました」との文言が「では当てるようにします。と答えました。」と変更され、「では前半ではなく後半で」との記述が削除されているほか、「(編集部追記:当該リストを)私たちは誰も見ておりません」との記述も削除されていることがわかり、さまざまな憶測を呼んでいた。

「全くの事実無根です」

 そんななか飛び出したのが、6日付「FRIDAY DIGITAL」報道だ。「FRIDAY」は、当該リストはジャニーズ事務所の要望に基づいて外資系PR会社・FTIコンサルティングが作成したと伝えた。さらに、20代からパニック障害があり過呼吸で倒れてしまう恐れがあるとの理由で会見を欠席したジュリー氏について、当日会見会場にいたとも伝えた。

 この報道に対しジャニーズ事務所はすかさず反応。7日、公式サイト上に声明を発表し、

「ジュリー氏も会場にいたなどとする部分については全くの事実無根です」

「いわゆる『NGリスト』なるものが弊社の要望に基づいて作成されたなどとする部分について、会見を委託したコンサルティング会社を選任し、運営について直接やりとりをしていただいていた弊社顧問弁護士にも改めて確認しましたが、顧問弁護士らも上記のような要望や意見を行った事実は一切ないとのことでした」

と否定した。広告代理店関係者はいう。

「PR会社が会見を円滑に進める目的でNG記者リストやNG媒体リストを作成するのは珍しいことではないが、今回の会見で一番まずかったのは、作成していた事実が世間にバレてしまったという点だ。顔写真入りのリストまで作成して、それを報道陣から丸見えの状態で会見場に持ち込んだり、会場で複数のスタッフが持っていたというのは、あり得ないレベルのミス。結果として自らの失態で大騒動を引き起こしクライアントであるジャニーズ事務所に迷惑をかけているのだから、PR会社としては完全に失格だ」

 別の広告代理店関係者はいう。

「FTIはPR会社としては中堅どころ。会社のHPをみると、本業はM&Aやリスクマネジメントなどに関する経営コンサル業務がメインの模様だが、今回のような失態をおかした会社にPR業務や経営コンサルを依頼しようと考える企業はいない。『FRIDAY』記事には運営にかかわったスタッフの証言が多数出てくるが、FTIとしては今後のビジネスへの影響を最小限に食い止めるためにも、あくまで同事務所の同意の上でやっていたという流れをつくるのに躍起になっているのでは。

 ただ、会見やジャニーズ事務所が出しているコメントを見る限り、同事務所が嘘をついているとは感じられず、この期に及んで事務所が『一部の記者を当てない』という行為をするとも考えにくい。のちにそれがバレたり、もしくは疑いを持たれることのリスクのほうが大きいからだ」

 ちなみに会見で司会を担当した元NHKアナウンサーの松本和也氏は、プレスリリース配信サービス会社を通じ、当該リストは会見前にFTIより渡され会見中も松本氏の手元にあったものの、「会見2日前の打ち合わせのときに、この記者は指名NGというやりかたはよくないという旨の井ノ原さんたちの発言を直接聞いていた」(プレスリリースより)ため、リストには従わないかたちで記者の指名を行っていたと説明している。

専門家の見解 

 危機管理・広報コンサルタントで、長年、企業・自治体の管理職向けに模擬緊急記者会見トレーニングや研修・セミナーの講師なども手掛けてきた平能哲也氏はいう(5日付当サイト記事より)。

「2回の会見自体への評価としては、謝罪会見にしては珍しいほど合格点に近い。1回目での社名変更しない点は私も批判的だったが、東山氏、井ノ原氏、ジュリー氏(今回は欠席)は記者の厳しい質問に対して真摯かつ率直に答えており、様子が乱れたり声を荒げたりするような場面もなく、特段に問題は見られなかった。企業等の酷い謝罪会見をこれまでどれほど見てきたことか。

 NG記者リストに関するジャニーズ事務所の否定コメントを読む限り、事務所が指示したとは考えにくい。一方、FTI側が、クライアントである事務所に忖度して、サービスだという意識でこのような行為を行った可能性は十分に考えられる。批判的な質問が出ないままスムーズに会見を終えることで事務所から評価されて、今後の継続的な取引につなげたいと考えてもおかしくはない。

 もっとも、記者の顔写真までのせたリストを、証拠が残ってしまう書面で作成し、さらに報道陣から見えるかたちで会場に持ち込むというのは、コンサルティング会社やPR会社の情報セキュリティ感覚としては信じられない。もしその事実が公になればどのような事態を招くのかということへのイマジネーションが欠落している。危機管理(広報)意識の欠如そのものだ。

 もし私がアドバイスを求められていたら、こんなリストは作らず逆に厳しい質問が予想される記者を先に指名して発言してもらう。前回の会見のように長い主張や質問が続けば『この後、多くの記者の方が質問を待っているので簡潔に願います』と司会が言えばよい」

経緯

 2日に東京都内のホテルで行われた会見では、現事務所を被害者補償専門の会社とし、社名を「SMILE-UP.(スマイルアップ)」に変更する一方、タレントのマネジメントと育成を担当する新会社を設立すると発表された(社名は公募)。新会社は、タレントや各グループが設立する会社等とエージェント契約を結ぶ形態をとり、社長には少年隊の東山紀之氏、副社長には井ノ原快彦氏が就任する。注目されていたのが、前社長の藤島ジュリー景子氏による説明だ。今後も100%株主としてジャニーズ事務所の取締役として残留する件や、前回9月7日の会見直後にハワイ旅行に行っていた件などについて、どのような説明がなされるのかが注目されたが、ジュリー氏はこの日の会見を欠席。今後も株式の100%を保有する理由について、「法を超えた補償を行うには、第三者の資本を入れるとできなくなるからです。被害を受けられた方の補償をきちんと最後まで行い、廃業致します」「今の時点で私が100%の株を持っていることが補償についても進みやすい」などと代読された手紙で説明した。

 会見をめぐって物議を醸したのが、NG記者リストの存在だ。NHKは5日、質問の指名対象から除外する記者を記したリストを作成していたと報道。会見会場でリストを持つPR会社スタッフの映像も報じられたが、FTIは当初、NHKの取材に対し「契約内容も含めてお答えすることは一切できません」と説明を拒否。一方のジャニーズ事務所はリスト作成への関与を否定した。

(文=Business Journal編集部)

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