女優・広末涼子とのダブル不倫が報じられ、その騒動の余波が拡大し続けているシェフの鳥羽周作氏だが、その発言が新たなトラブルを引き起こしている。
鳥羽氏は自らオーナーシェフを務めるレストラン「sio」などを運営している「sio株式会社」の代表を辞任するほか、企業や行政と交わしていた事業の契約を次々に解除されるなど今後の生活にも支障をきたす恐れが懸念されるほどの窮地に立たされている。
だが、当の鳥羽氏は華やかな表舞台から追われても、料理人としては問題ないとの考えを持っているようだ。一部メディアで、「今年もこの不倫がどう影響するかわかんないけど、しなかったらもう一個新しい店もミシュラン取るし。内定はきてるから」と発言したと報じられた。
ミシュランといえば、独自のスタイルでの調査により公平な評価を下すことで、世界的にも信頼度が高いガイドブックだ。基本的に匿名で調査を行うため、対象となる飲食店との癒着などは起きにくいといわれる。鳥羽氏が言うように、星を与えることが事前に内定することなどあるのだろうか。ミシュランガイド日本版を発行する日本ミシュランタイヤ広報部は、鳥羽氏の発言を明確に否定する。
「ミシュランガイドはレストランに掲載の内定をすることは一切ございません。ミシュランガイドは世界共通の評価基準で料理の評価をしております。そのプロセスは次の通りです。
① 匿名調査員による食事の調査
② 評価に携わる調査員全員、そのエリアの責任者、インターナショナルディレクターによる合議制
です。評価はその年のミシュランガイド評価発表会までお伝えすることはございません。
※「ミシュランガイド東京」の評価発表会は例年11月~12月に行っております。
食事の調査とは別に、情報確認のために店舗にご連絡をすることはございますが、事前に掲載有無、評価内容をお伝えすることは一切ございません。ミシュランガイドの調査及び発表のプロセスは、これまで同様、独立性、公平性をもって継続してまいります」
鳥羽氏の“内定した”発言は、勘違いなのか、あるいは単なる強がりなのか不明だが、ミシュランが否定したことで、新店舗の船出にも暗い影を落としかねない。
その一方で、ミシュラン一つ星を獲得した経験を持つ飲食店のオーナーシェフは、「内定とまではいかなくても、ミシュランのガイドに掲載される店は、事前にある程度決まっている」と内情を明かす。
「ミシュランといえど、調査地域の飲食店をすべて調査しているわけではありません。ネット上やガイドブックなどでの評価が高い店や、調査員の人脈から口コミで伝えられた情報などから、調査する店を事前に絞り込んでいるようです。また、星を獲得した店は、次の調査でも調査対象となることが多く、実際に多くの店が何度も星を獲得し続けています。
ミシュランは飲食をする際には覆面調査が基本ですが、その後に身分を明かしてシェフやオーナーに聞き取りなどを行うため、ある程度の人間関係ができあがっている店舗はあると思います。星などの評価が内定しているとは思いませんが、“新店舗ができたら調査に行く”くらいの約束はしていても不思議ではないですね。ミシュランは、星を獲得でいなかったとしても、掲載されるだけでも飲食店の業界では“一定の評価をされている”証明ととらえられています。鳥羽シェフは、調査に来てもらえる=星をもらえると考えているのかもしれないですね。
しかし実は、ミシュランに掲載されることは、良いことばかりではありません。ミシュランは、星を獲得する店に一定の条件を設けています。ミシュランが店側に強制するものではありませんが、ミシュランに掲載してほしいと考える店は、その条件を満たそうとして無理することがあります。しかも、掲載されると観光客などが殺到し、常連客が入りにくくなることも珍しくありません。そのため、一度は星を獲得したものの、次回以降は掲載しないでほしいと要望する店もあります」
鳥羽氏は代表を辞任したとはいえ、今後、sioはミシュランに掲載されるのだろうか。
(文=Business Journal編集部)