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ラーメン山岡家、コロナ禍でも売上増の秘密…非セントラルキッチン&郊外出店に固執

取材・文=恵美須/A4studio、協力=山路力也/ラーメン評論家
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ラーメン山岡家のHPより
ラーメン山岡家のHPより

 ラーメンチェーン「ラーメン山岡家」が躍進を続けている。郊外のロードサイドをメインに出店し24時間営業を基本としている同チェーンは、店内炊き上げの豚骨の効いたスープに太めで短めの麺がウリなのだが、大半の飲食店が苦戦を強いられたコロナ禍でも、売上高を伸ばしていたとして注目を集めている。

・2019年1月期(18年2月~19年1月)/128億2700万円
・2020年1月期(19年2月~20年1月)/141億0664万円
・2021年1月期(20年2月~21年1月)/142億6534万円
・2022年1月期(21年2月~22年1月)/151億2233万円
・2023年1月期(22年2月~23年1月)/186億7667万円

 上記は山岡家を経営する株式会社丸千代山岡家が公表している近年の売上高の推移なのだが、コロナ禍突入後も右肩上がりし続けていたのだ。23年1月期に記録した186億7667万円という売上高は、前年比23.5%増となっているが、既存店のデータでも前年比で売上高19.3%増、客数16.0%増となっている。20年時点で163店だった店舗数は、23年1月31日現在では176店舗と13店舗増えたのみなので、新規店舗のスタートダッシュの売上高に頼っているわけではなく、既存店の地力の強さが際立っているといえるだろう。

 駅前にある行列のできるラーメン店がSNSなどで話題になる一方で、山岡家の取る戦略は真逆に見えるも、しっかりと結果を残すことができているのはなぜだろうか。今回はそんな山岡家の好調の秘密について、ラーメン評論家の山路力也氏に解説してもらった。

コロナ渦の影響をあまり受けなかった理由

 山岡家の業績が上がっている要因のひとつに、主要ターゲットであるトラックドライバーの動向が挙げられるという。

「国道をはじめとした幹線道路をメインに出店している山岡家では、基本的に大型トラックでも駐車できるような広めの駐車場を用意しているので、ドライバーの方々が利用しやすい店舗設計になっています。そしてドライバーの仕事は、リモートワークの影響を受けないため、コロナ禍でも山岡家の業績にはそこまで悪影響を及ぼさなかったのでしょう。同様にラーメンチェーン『町田商店』も郊外にある店舗は、コロナ禍でもあまり影響を受けていませんでした。

 とはいえコロナ禍で流通量が減少はしていたでしょうから、まったく影響がなかったわけでもありません。そんななか、昨年はトラックの流通量が回復し、それに比例して客数も増え、売上高も上がったのだと考えられます。またコロナ禍によるライフスタイルの変化があり、公共交通機関の利用を避け、車で行ける店で外食しようと考える人が増えたことも、売上アップにつながったのではないでしょうか」(山路氏)

 山岡家は1990年代から北海道にも出店しており、現在は丸千代山岡家の本社も札幌市にあり、北海道だけで50店舗以上展開している。北海道は典型的な車社会であるため、山岡家は足を運びやすいチェーン店として人気を博しているのかもしれない。また丸千代山岡家はメインブランドである山岡家だけでなく、豚骨ラーメン以外をメインにした店舗も展開も行っている。

「丸千代山岡家では、山岡家ののれんを掲げている既存の店舗を改装して、他業態の展開を図っています。たとえば、『極煮干し本舗』や『味噌ラーメン山岡家』といった違うブランドの店舗を出店し、さらなる客層の獲得に向けて動いているんです。もし受け入れられなくても、さほどコストをかけずにメインブランドである山岡家に戻すこともできるでしょうから、低リスクでさまざまなラーメンブランドに挑戦できています。実際に数年前に千葉県内に極煮干し本舗を出店したこともありましたが、現在は主力ブランドの山岡家に変更しており、試行錯誤しながら進めているのだと推測できます」(同)

 実験的に新ブランドを展開するハードルの低さ、かつ失敗した際にも山岡家という看板ブランドがあるおかげで、リスクヘッジもしやすくなっているということか。

セントラルキッチンは採用せずに店内調理

 店舗数が3桁に及ぶ大規模な飲食チェーンの場合、セントラルキッチンを採用して各店舗内では食材を温めるだけといったところも多いが、山岡家ではスープの仕込みなどをすべて店内で行っているのだ。セントラルキッチンや濃縮スープを使わず、手作りによるスープの仕込みや食材の店内調理を実施していることが山岡家のストロングポイントであり、ライバルとの差別化になっているといえるだろう。

「店内調理型の方式では、現場の売上を顧みて、仕込み量をコントロールできます。セントラルキッチンとなると、遠方にある工場に対して、数日後の売上を予測して発注する必要があるのですが、そうすればフードロスのコントロールも一苦労。しかし、店舗調理の方式であれば、比較的容易に予測し、フードロスを減らすことができます。

 さらにセントラルキッチンでは製造したスープを工場から店舗まで運ぶ必要がありますが、配送と品質管理にかなりのコストがかかります。そのため、セントラルキッチン型のラーメンチェーンでは、配送コストを下げるためにスープを濃縮し、店舗のほうでは希釈して提供しているのですが、やはり山岡家のように店舗で仕込んだストレートのスープの味に比べると風味が損なわれがち。山岡家がかたくなに店内調理を貫くのは、フードロスももちろんですが、それ以上に味に対する並々ならぬこだわりがあるのでしょう」(同)

 そんな山岡家、ロードサイドの郊外店舗は盛況なものの、都市部にはほとんど出店していない。それには都市部への出店が難しい事情があるのだという。

「山岡家は24時間営業を基本とし、店舗で豚骨などを煮込んで仕込みをします。そのためスープを仕込む際に臭いも発生するので、思わぬトラブルに発展するケースも容易に考えられます。ですから臭いがクレームにつながりかねない駅前やショッピングモールのフードコートなどへの出店は、とてもハードルが高いのです」(同)

 ファンのなかには「あの豚骨臭さがたまらない」と語る人も多いだろうが、駅前や商業施設の中であの匂いを充満させるわけにはいかないのかもしれない。

「山岡家は上場企業ですが、都市部に出店できる業態にいくつかチャレンジすることで、ステークホルダーに対し、人口の多い都市部への戦略を忘れてはいないとアピールすることができるわけです。また山岡家の戦略は、セントラルキッチンを採用せずに店舗調理することで、人件費や光熱費の高騰が問題になったり、店舗ごとに味のブレがあったりといったデメリットがあるので、そうした面を含め現在は新ブランド展開の実験段階にあるという見方もできそうですね」(同)

 コロナ禍で売上高が右肩上がりとなっていた丸千代山岡家。おごって守りに入ることなく、次のフェーズを見据えて新ブランドを実験するなど、チャレンジングな経営をしているようだ。

(取材・文=恵美須/A4studio、協力=山路力也/ラーメン評論家)

山路力也/ラーメン評論家

山路力也/ラーメン評論家

「作り手の顔が見える料理」を愛し「その料理が美味しい理由」を常に考えながら、テレビ・雑誌・ウェブなど様々な媒体で活動中。飲食店や商品のプロデュースも手掛けている。
RIKIYA YAMAJI

Twitter:@ymjrky

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