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顧客満足度1位のオーケー、競合店対抗値下げの闇…値下げ分の補填を納入業者に要求

文=LUIS FIELD、協力=西川立一/流通ジャーナリスト
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オーケーの店舗(「Wikipedia」より/Suikotei

 大手スーパーマーケットのオーケーは、今年8月に発表された「JCSI(日本版顧客満足度指数)」(公益財団法人日本生産性本部 サービス産業生産性協議会)の2023年度第1回調査・スーパーマーケット業種で、顧客満足度1位に輝いた。オーケーが1位を獲得したのは今回が初めてではなく、11年度の調査開始から13年連続の受賞となる。今回の華々しい結果をよそに、「値下げ分の負担を納入業者に要求した」として公正取引委員会が今年の春ごろに調査に乗り出していたことが発覚。オーケーとはどのような体質の小売り企業なのか。また、同様の行為はスーパー業界では広く行われていることなのか――。専門家に話を聞いた。

 オーケーは経営方針として「高品質・Everyday Low Price」を掲げ、その安さや品質、品揃えで数多くのユーザーから支持を集めているディスカウントスーパーマーケットで、関東を中心に140以上の店舗を展開している。良くも悪くも話題となっているオーケーについて、流通ジャーナリストの西川立一氏はいう。

「商品価格の安さが何よりの売りで、特売日がなく毎日安いというのが特徴のディスカウントスーパーです。メーカーのナショナルブランドがお得に買えることをアピールポイントとし、『競合店対抗値下げ』も行っています。また価格の安さだけではなく、商品の質も一定水準を保ちながら、肉や魚、野菜、惣菜、日用品などの品揃えも充実しており、消費者からの評価が高いスーパーといえるでしょう」(西川氏)

 価格や商品の質以外にも、商品の情報を伝えるPOPの作成や、顧客の声を尊重する「ご意見カード」の回収など、顧客目線での運営を心がけているようだ。こうした店舗内の工夫に留まらず、業者との取引にも特色があるのか。

「納入業者とのやり取りでは、一般的なスーパーの取引形態と同様『大量仕入れ』がポイントになります。多店舗展開による商品の大量仕入れで、価格交渉時に有利な立場になることができます。これは他の大手スーパーでも同じですが、取引数に応じてメーカーや問屋も原価を下げるなど優遇策をとります」(同)

常態化してはならない優越的立場からの強要

 大手スーパーは、店舗を拡大して商品を安く仕入れ、消費者にとって嬉しい価格での販売を実現させてきたが、なぜオーケーは値下げの一部を納入業者に補填させてしまったのだろうか。

「基本的にディスカウントスーパーは、他店より1円でも安く売ろうと考えています。買い物をしていると、『地域一番価格』『競合店舗より1円でも高かったら値下げします』といった文言を見かけることがあります。オーケーも『どこよりも安く提供したい』という競合店対策を理由に、値下げ部分の補填を業者に頼んだのでしょう。しかし同行為は公正取引委員会から独占禁止法に抵触する恐れがあるとして、指摘を受けたのです」(同)

 各社さまざまな方法で安さをアピールし、常に価格競争が繰り広げられているスーパー業界。今回取り上げられたのはオーケーであったが、同様の行為は、これまでにも当たり前のように行われていたという。

「同様の行為は、業界では以前から水面下で広く行われていました。最近は、コンプライアンスへの配慮が騒がれていますので、大手企業は特に気をつけているといった状況でしょう。過去には、公取委による調査や摘発、大きくなると裁判にまで発展したこともあります」(同)

コンプラ遵守でホワイトなスーパー運営を

 ネット上でも今回の一件が注目されており、「氷山の一角にすぎない」「誰かが無理をして安くなるのはちょっと……」など数多くの意見が寄せられている。同件について西川氏は、コンプライアンスを遵守することが重要だと指摘する。

「基本的なことですが、スーパーは納入業者と公正な取引をしなければなりません。有利な立場を利用して、いわゆる『納入業者イジメ』をしてしまうのは、言語道断ではないでしょうか。不正な手段を使わず正しい取引を行い、コスト削減など企業努力に励んでより安く提供することが大切です。道を外さず、コンプライアンスの範囲内で安さを求めてほしいと思います」(同)

(文=LUIS FIELD、協力=西川立一/流通ジャーナリスト)

西川立一/流通ジャーナリスト、マーケティングプランナー、ラディック代表取締役

西川立一/流通ジャーナリスト、マーケティングプランナー、ラディック代表取締役

流通ジャーナリスト。マーケティングプランナー。慶応義塾大学卒業。大手スーパー西友に勤務後、独立し、販促、広報、マーケティング業務を手掛ける。流通専門紙誌やビジネス誌に執筆。流通・サービスを中心に、取材、講演活動を続け、テレビ、ラジオのニュースや情報番組に解説者として出演している。

Twitter:@nishikawaryu

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