全国で950店舗超を展開し、メニュー写真よりも大きい実物が出てくる「逆写真詐欺」で愛されてきたコメダ珈琲店は、ファンの間で「値段が地域によって違う」と噂されてきた。そして最近、にゃんこそば氏(Xアカウント:@ShinagawaJP)が行った店舗ごとの価格を可視化した投稿が話題となっている。その投稿では、東京周辺における定番メニュー「コメダブレンド」の価格帯がまとめられ、都内でも店舗ごとに異なり、地域差が見られることを示している。そこで今回は、都道府県別の高所得世帯割合や小売チェーンの分布など、データと地図を組み合わせることで傾向を可視化してきた同氏に、コメダのメニューにどのような傾向が見られるのか聞いてみた。
「コメダの値段が地域によって違う」
「コメダの値段が地域によって違う」って話、可視化してみたら意外な発見があった。
— にゃんこそば?データ可視化 (@ShinagawaJP) October 28, 2023
まず定番メニューの「コメダブレンド」から。
全国平均は505円。都心が高いのは想像できるとして、駒沢公園、自由が丘、鎌倉でも600円に。地代や人件費、それにお客さんの回転率が効いてる感じ。 pic.twitter.com/Gzs0PGQYJx
にゃんこそば氏は460~700円の変動幅があるコメダブレンドについて、「~520円」「540~580円」「600円~」と3段階に分類し、色ごとに分けて首都圏での分布を可視化している。ざっくりみると都心に近いほど高価格帯となっている印象があるが、他にどのような傾向があるのか。
「例えばJR中央線の中野駅~吉祥寺駅あたりでは、駅前の商業化が進み、飲食店の家賃が都心からの距離が遠い割に高いのですが、価格設定は控えめです。一方で、都内有数の大きな公園に隣接する駒沢公園店、自由が丘、鎌倉小町通りなど観光客が多く利用する店舗で値段が高くなる傾向があります。お客さんの滞在時間などを見て、きめ細かく値段を設定されていることがうかがえます」(にゃんこそば氏)
公園近くのコメダでゆったりしたい気持ちは分からないでもない。同氏のいうとおり、公園付近の店舗では客の滞在時間が長めなのかもしれない。
他のドリンクは「コメダブレンド+●●円」に統一
コメダブレンドの価格に関しては全国規模でも比較されており、にゃんこそば氏は大都市圏や太平洋ベルトに沿った地域が比較的高めだと投稿している。とはいえ名古屋圏では気持ち安めのようだ。モーニングなど名古屋独自の文化や地元の喫茶店との競合が影響しているのではないかと同氏は考えており、より詳しくリサーチしてみたいところだと話す。
「コメダブレンド」の値段、全国版。
— にゃんこそば?データ可視化 (@ShinagawaJP) October 28, 2023
地域によって細かな違いがあって、大都市圏のほか、太平洋ベルトに沿った地域で少し高い。
逆に、コメダ発祥の地・愛知県やその周辺では気持ち安め。価格設定の「なぜ」を掘り下げていくといろんな発見がありそう。 pic.twitter.com/aotgIdVJyZ
他の商品価格の傾向について聞いてみたところ、「ドリンク類については原則として『コメダブレンド+●●円』という値付けで統一されている」とにゃんこそば氏は語る。Xでも「ジェリコ スイートパープルはコメダブレンド+180円」と投稿している(期間限定で現在は終売)。
実際に調べてみると千葉富士見店・新宿三丁目店・有楽町ビックカメラ店の「コメダブレンド」の価格は520円・600円・640円だが、「ウインナーコーヒー」は600円・680円・720円となっており、+80円で統一されている。「蜂蜜アイスコーヒー」も同様に+100円で統一されている。運営における便宜上、統一しているのかもしれない。
ヒレカツは郊外のほうが高め、都心はフード類が少ない
にゃんこそば氏は「ヒレカツ」も同様に3段階に分け、可視化したマップを投稿している。ヒレカツは他にもサラダやロールパンが付いたワンプレートメニューで、がっつり食べたい人の間では定番の商品だ。同商品は、コメダブレンドのように単に都心ほど高くなるわけではなく、吉祥寺、横浜市・元町、大宮といった郊外の商業地やショッピングモールで高めとなっているようだ。全国規模で見た場合のヒレカツの価格分布について聞いてみた。
「ヒレカツ」では少し傾向が変わってくる。
吉祥寺、横浜元町、埼玉大宮などの商業地や、郊外ショッピングモールで高めの値段がついている。
いずれも地域の中心的なお出かけスポットで、買い物ついでに「しっかり食事」「ゆっくりお喋り」する人が多いんだろうなぁ・・・と。 pic.twitter.com/FCP03350XQ— にゃんこそば?データ可視化 (@ShinagawaJP) October 28, 2023
「全国的にはコメダブレンドに近い傾向ですが、一部、福岡県や山口県にも首都圏並みの値付けをしている店舗がみられます。これらの地域でヒレカツの原材料となる豚や小麦粉、卵が高いといったことはないので、真の原因については不明です」(同)
ちなみに価格帯だけでなく、メニューそのものも店舗によって異なる傾向が見られるという。
「ヒレカツをはじめ、フードメニューは都心店での取り扱いが少なくなっています。喫茶店としてのニーズと、レストランとしてのニーズが地域によって異なることがうかがえます。他の飲食系チェーンと比べて、フランチャイズ(FC)加盟店の裁量が大きいことが推察されます」(同)
確かに都心店は食事というよりカフェ需要のほうが高いといえそうだ。コメダのFC比率も約95%であり、にゃんこそば氏の言うように店舗の裁量の大きさが表れているのかもしれない。今回の投稿にあたり、同氏はコメダ側からデータをもらったわけではなく、店舗ごとの価格をサイトから手作業でExcelにまとめていったという。今後、にゃんこそば氏がどのようなデータを可視化してくれるのか、楽しみである。
(文=永田理瑠、協力=にゃんこそば)