200店舗が入居できるピエリ守山は、とても大きな施設だ。現在では、4店舗しか入居していないにもかかわらず、電気も暖房も節電をすることなく使用されている様子で、無人のエスカレーターはずっと動き続ける。館内すべてのトイレも使用可能だ。あたかも、200店舗が入居していた往時のように、館内の隅々までピエリ守山はその設備を守っている。施設担当者と思しき人に「なぜ写真撮影が禁止なのですか?」と聞いたところ、「他の百貨店はショッピング施設でも撮影は禁止ですから」とのことで、競合他店へのライバル意識は健在のようだ。
●初売りイベント
そんなピエリ守山では、初売りのイベントとして、先着50人の子ども限定で、ピエリ守山特製風船のプレゼントが行われていた。昼12時の配布開始が近づくにつれ、家族連れの姿もちらほらと見えてきて、子供向けの遊戯施設「キッズパーク」には、青と黄色の風船を持った女性がやってきたが、手に持っている風船の数は20個程度であった。風船をもらおうと、ひとり、またひとりと親に連れられた子どもがやってきたが、10個程度配布されたところで終了。その女性に試しに「大人でも風船はもらえますか?」と聞いてみると、「ネットでは『風船をゲットする』なんていう声もありましたが、これは子ども向けです」と断られ、ネットに対する強い警戒心が伺えた。
見方を変えれば、ピエリ守山はある意味とても便利で都合がいい場所かもしれない。小さい子どもを連れた家族にとって、子どもがいくら騒いでも駆け回っても迷惑にならないし、おもちゃをねだれる店舗もない。
また、他のショッピングモールと同じように、客の休憩用に数多くのソファーがあちこちに置かれている。筆者もゆったりとソファーに腰掛けていると、「ひとりでも多くのお客様にご利用いただけますよう、ソファーは譲り合ってご利用ください」との館内アナウンスが流れたが、おそらくかつて賑わいがあった頃から同じアナウンスが使われていたのだろう。
そして帰り際、出入口に目をやると「謹賀新年」という文字とともに、次のような新年のあいさつが掲出されていた。
「ピエリ守山はおかげさまで新しい年を迎えることができました。
この晴れがましい気持ちをみなさまに…と願って。
ピエリ守山を今年も、どうぞよろしくお願いいたします
平成26年 元旦」
ピエリ守山が今年、かつての賑わいを取り戻し、来年は活気あふれる初売りを迎えられることを願いたい。
(文=萩原雄太/ライター)