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「村田製作所を知っているか」を人物を見極める判断基準にしていい説の妥当性

文=Business Journal編集部、協力=津田建二/国際技術ジャーナリスト
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村田製作所の公式サイトより

 11日、「村田製作所」がX(旧Twitter)上でトレンド入りして話題を呼んでいる。売上高は優に1兆円を超え、純利益は2000億円を超える世界的優良企業だが、BtoBメーカーゆえに社名を知らないという人も少なくないようで、「これが知名度のないBtoBメーカーの現実」「逆に村田製作所も知らないような人間をスクリーニングかけられるから良い」などさまざまな声があがっているようだ。同社はどのような企業なのか。専門家の見解も交えて追ってみたい。

 村田製作所は1944年に京都で創業。ニデック(旧日本電産/73年創業)、京セラ(59年)、任天堂(1889年)、ローム(1958年)などと並び、京都が生んだ世界的企業としても知られている。

 電子部品メーカーであり、扱う商品には世界シェア1位の商品が並ぶ。

・チップ積層セラミックコンデンサ(世界シェア40%)
・EMI除去フィルタ(40%)
・表面波フィルタ(50%)
・多層LCフィルタ(40%)
・マイクロバッテリ「酸化銀電池」(40%)
・ショックセンサ(95%)
・セラミック発振子(95%)
・高周波インダクタ(60%)

 他社がマネできない高い技術力を要する高付加価値商品が多く、ロボット、産業機械、自動車、スマートフォン、PC、家電製品、AV機器、医療機器などに使用されており、「電気で動くほとんどのモノにムラタの部品は入って」(同社公式サイトより)いる。売上高に占める研究開発比率は6.1%。新製品売上高比率は約30%に上り(2022年3月31日現在)、新しい製品・技術の開発に力を入れている。

 業績からも存在感の大きさがうかがえる。23年3月期決算の売上高は1兆6868億円、営業利益は2979億円、純利益は2537億円で、売上高営業利益率は17.7%。国内電子部品メーカーとしてはトップクラスの収益力を誇る。

 高い世界シェアを有する製品が多いグローバル企業だけに、海外売上比率は90%を超え、アジア、欧州、米国をはじめ世界中に計59社の海外関連会社を展開し、約1万人いる従業員のうち約600名が海外関連会社に出向している。

 同社の強みについて、国際技術ジャーナリストで「News & Chips」編集長の津田建二氏はいう。

「同社の社員の方とお会いして驚くのは、あらゆるレイヤーの方が『次にどのような技術が世の中の主流になり、そのなかで村田はどのように稼いでいくべきか』を常に考え、的確にとらえている点です。たとえばアップルのiPhoneが登場したのは2007年ですが、村田は当時から次に来るのはスマホだと考えて高周波にも対応できるコンデンサをつくり、現在では世界中のスマホに同社のコンデンサが搭載されています。また、もう15年くらい前から自動車の電子化・電動化が進むと読んで、内燃機関から生じるノイズが電子回路に影響を与えないようノイズを吸収するセラミックコンデンサをつくった。そしてAIの領域にもいち早く着目し、エヌビディア製半導体の周囲にはたくさんの村田製コンデンサが使用されています」

 電機メーカー管理職はいう。 

「アップルのiPhoneに村田製作所のチップ積層セラミックコンデンサ(MLCC)が数多く使用されていることは有名。村田の強みは、ほぼすべての電子機器に使用されているコンデンサの分野で高いシェアを持ち、通信の5G関連機器やEV(電気自動車)、医療機器、エネルギー関連機器など今後伸びることが確実な領域に参入し、なくてはならない部品を供給している点」

 ちなみに同じく海外に展開する国内電子部品メーカーとしては、ニデック、TDK、京セラ、オムロン、アルプスアルパイン、太陽誘電、ミネベアミツミなどがある。

<逆に村田製作所も知らないような人間をスクリーニングかけられるから良いこと>

 そんな村田製作所だが、一般消費者向け商品をほとんど扱っていないBtoB企業であるため、社名を知らなかったり、何を手掛けている企業かを知らない人も少なくない。そのため、以前からニデックやローム、ミネベアミツミ、信越化学工業、YKKなどとともに「グローバル企業でありながら知名度がイマイチなBtoB企業」の代表例として挙げられることも少なくない。少し前にはX上に投稿された

<理系「村田製作所ってところで働いています (ボソッ)」
アポった女「えっ?…(製作所って工場?ダサッ)」
親戚「あっ…(中小企業なんだろうな)」
知り合い「あっ…(中小企業なだろうな)」
これが知名度のないBtoBメーカーの現実です>

というポストが話題に(原文ママ)。これに対し以下のような反応が寄せられていた。

<逆に村田製作所も知らないような人間をスクリーニングかけられるから良いこと>

<今の日本はBtoBが強い(グローバル化が進んでるので尚更)のを知らずに日本はダメとか日本は漫画やアニメしか取り柄がないって言い出すやつが多い事…>

<この会社を知らないっていう人がいるんだな>

<村田製作所を知らない人への付き合い方の密度はかなり下方に変えていいと思う>

<流石に村田製作所知らない親戚やら知り合いは情弱過ぎないかい?>

<株でもやってないと『村田製作所』って知らないものなの? 一流企業、大企業なんだけどな 就職できたらガッツポーズでしょ?>

<村田製作所を町工場みたいなレベルだと思ってる婚活女子がいるってこと?>

<村田製作所知らなくて擦られるネタあるけど、日本の1兆円企業(約180社)全部聞いたことあるかっていうとかなり怪しいよね>

<村田製作所の話で思い出したけけど、友達がホシザキに入った当時、冷蔵庫の会社て家族に伝えたらしく「小さい会社なら頑張ったら上に行けるやろ」 とか親に言われたとか言ってたな>

<村田製作所がトレンド入りしてるが、売上1.6兆の大企業知らないでしょ的ポスト多いが、部品メーカーなのでね>

<村田製作所知らない問題、踏み絵としてはちょっと弱いからNSKとか沖電気にしてあげるといいのでは>

<Q:村田製作所って何作ってるの?
A:恐らく、自他がこのポストを見る為に出力装置として使ってるやつの部品です>

<実家が金型業なので、村田製作所やファナックって自分の中では有名すぎる大企業なんだけど、世間の知識のなさに驚愕した…>

<村田製作所知らないのは業界違えばしょうがないけど、「工場→ダサい」と思う女など選ばなくてよし>

 前出・電機メーカー管理職はいう。

「村田の製品が使われている業界の人であれば、社名を聞いたり目にしたりする機会もあるので、知っているだろうが、それ以外の人は村田の製品に直接触れることはないので、知らなくても不思議ではない。ただ、言い方は難しいが、日頃から日本経済新聞に目を通しているような旧一部上場企業に勤務する真っ当なビジネスマンであれば、“たしなみ”として村田がどんな会社なのかということくらいは知っているだろう。社名を知っているか知らないのかというのが、ビジネス上における人を見極める一つの判断基準になるというのは、あながち的外れともいえないとは感じる」

(文=Business Journal編集部、協力=津田建二/国際技術ジャーナリスト)

津田建二/国際技術ジャーナリスト、「News & Chips」編集長

津田建二/国際技術ジャーナリスト、「News & Chips」編集長

国内半導体メーカーを経て、日経マグロウヒル(現日経BP)、リードビジネスインフォメーションと技術ジャーナリストを30数年経験。その間、Nikkei Electronics Asia、Microprocessor Reportなど英文誌にも執筆。リードでSemiconductor International日本版、Design News Japanなどを創刊。海外の視点で日本を見る仕事を主体に活動。
News & Chips

Twitter:@kenjitsuda2007

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