大手ハンバーガーチェーン「ロッテリア」が期間限定で販売中の「キング 甘辛 牛プルコギバーガー」(税込1190円)。「甘辛 牛プルコギバーガー」のパティを3枚重ね、プルコギソースで味付けした牛カルビ肉を約2倍に増量したメニューで、公式サイト上には横幅より高さのほうが長い、バンズとパティ、牛カルビ肉などの具材がうずたかく積み上げられたタワー状の商品写真が掲載されているが、実際に購入した人々から「写真とまったく違って、しょぼい」「高さが普通のハンバーガーと変わらない」といった声が続出している。今回の事例は景品表示法で禁止されている優良誤認表示などに該当するのか。専門家に見解を聞いた。
全国に約300店舗ほど展開する「ロッテリア」は、店舗数ベースではマクドナルド(2975店/4月末現在)、モスバーガー(1314店/同)に次ぎバーガーチェーンとしては国内3位のポジションにある(ケンタッキーフライドチキンを除く)。ちなみに4位はバーガーキング(226店舗/2024年5月末現在)。
昨年4月にはロッテホールディングス(HD)から「すき家」などを展開するゼンショーHDに売却され、同年9月には新ブランドチェーン「ゼッテリア」の1号店をオープンするなど、転換期を迎えている。
各チェーンの「ハンバーガー」の価格を比較してみると、ロッテリアは220円となっており、マクドナルド(170円)より高く、モスバーガー(240円)より低いが、ロッテリアの商品をめぐっては以前から「特徴がない」という声も多く、バーガーチェーンのなかでの立ち位置は微妙。昨年6月にLINE(現・LINEヤフー)が発表した、全国の15歳~64歳の男女を対象にした「ハンバーガーチェーン店」に関する調査結果では、「一番好きなハンバーガーチェーン店は?」という質問項目で得票率わずか1.8%となり、ケンタッキーフライドチキン、バーガーキングに次いで5位という結果に終わっている。
「店舗数が多いためアクセスしやすく、リーズナブルで一定のクオリティを維持しているマクドナルド、やや割高だが高品質という評価が確立されているモスバーガー、ボリューミーで肉々しいバーガーが根強いファンを獲得しているバーガーキングと比べて、存在感が薄いのは否めない。他チェーンと比べて特に低価格というわけでもなく、商品に特徴があるわけでもなく、しいて人気メニューと呼べる商品をあげるなら『絶品チーズバーガー』くらいで、“特徴のなさがロッテリアの最大の特徴”といえる。
もっとも、特徴がなく無難というのは“ロッテリアは苦手”という顧客が生まれにくいという意味で強みともいえ、国内外食チェーン1位のゼンショーHDが買収したということは、ロッテリアの事業単体では業績はそれほど悪くないということだろうし、潜在的な競争力がそれなりにあるということだろう。グループの強い原材料の購買力を活かして低価格路線をとるのか、割高でも付加価値の高い商品をラインナップするという方向に行くのかはわからないが、今後の変化が気にはなる存在だ」(外食チェーン関係者)
前述のとおりロッテリアの代名詞ともいえる『絶品チーズバーガー』だが、根強いファンを獲得している商品であることは事実だ。
「ロッテリアには極めてオリジナリティの高い看板商品があります。それが『絶品チーズバーガー』です。シンプルながら印象の強い味わいで、きっとハマっている固定ファンも多いことでしょう。しかしこれも見方によっては、マックほどソリッドではなく、かといってモスほどファミリーに寄っているわけでもなく、ほどほどに本格的で同時に親しみやすさもある、やはり中間的な着地の商品とも言えるかもしれません」(飲食プロデューサー・稲田俊輔氏/23年11月3日付け当サイト記事より)
普通のハンバーガーとほとんど変わらない?
そんなロッテリアが期間限定で販売中なのが「キング 甘辛 牛プルコギバーガー」だ。ハンバーグパティを3枚重ね、プルコギソースで味付けした牛カルビ肉を「甘辛 牛プルコギバーガー」の約2倍に増量し、ヤンニョムソース、細切り人参、レタス、マヨネーズを合わせたメニューで、5月25~29日の期間限定販売となっている。前述のとおり公式サイト上には横幅より高さのほうが長いタワー状の商品写真が掲載されているが、実際に購入した商品の高さが写真と比べて低すぎるとして、ネット上では以下のような声が続出している。
<これで1000円越えって…>
<あれ? 広告と随分と迫力が違って>
<ショック過ぎて>
<あそこは盛り付けが雑とか言うレベルじゃなく写真と違いすぎて>
<まるで誇大広告>
実際に購入した30代男性はいう。
「あまりにメニュー写真と違うので気になってサイズを測ってみたところ、サイトの写真は縦の厚みが横幅の約1.3倍でしたが、実際の商品は逆に横幅のほうが長く、厚みは写真の半分ほど。見た目的には商品の厚さという意味では普通のハンバーガーとほとんど変わりませんでした。メニュー写真で多少“盛る”のはご愛敬ということで理解もできますが、もはや“詐欺レベル”という印象です」
このレベルの違いは、景品表示法で禁止されている優良誤認表示などに該当するのか。山岸純法律事務所代表の山岸純弁護士はいう。
「ロッテリアのページの下のほうに『写真はイメージです』とありますから、法律問題にはなりにくいと思います」
外食チェーン関係者はいう。
「そもそもサイトのメニュー写真ほどの高さがあると現実問題として食べられないし、普通に考えて実物がこの写真と同レベルの大きさで提供されるとは考えにくいので、本気で怒るお客はほとんどいないとは思います。ただ、あまりに写真と実物のサイズ感が異なるのも事実で、チェーンとしての信用という意味では、いくら世間の関心をひくためとはいえ、やりすぎのような気もします」
(文=Business Journal編集部、協力=山岸純弁護士/山岸純法律事務所代表)