株式会社アポロは新しいサービス「展示会のプロ」をリリースした。東京ビッグサイトなどで行われる展示会において、企業の出展を支援するサービスであり、展示会に対する企業のリソース不足を解消するという。展示会出展の企画や施工を行う企業は既に多数存在するが、「展示会のプロ」はどういった点が特徴なのだろうか。アポロの社長である飯島隼人氏に、サービスの特徴と企業側のメリットを聞いた。
2024年設立の新生ベンチャー
「展示会のプロ」をリリースするアポロの社長、飯島氏はPR会社大手のベクトル社出身である。2023年には同グループ傘下、アンティルの執行役員に就任した。その後、ロケットスターのサーチファンドプログラムに参画。現在はサーチャー(社長候補)としてM&A先の企業を調査すると共に、ファンド傘下の企業であるアポロの社長を務める。アポロは今年設立したばかりの新生ベンチャーだ。
「展示会のプロ」とは
「展示会のプロ」は冒頭の通り、企業の展示会出展を支援するサービスである。とはいえ、『展示会 出展』『展示会 設営』などと検索すれば、同様の企業はたくさん出てくる。真新しいサービスである印象は受けないが、どういった点が特徴なのだろうか。
「『展示会のプロ』は展示会出展に必要な事項を最初から最後まで一気通貫して支援するサービスです。出展前の企画・準備から始まり、当日の運営、そして展示会運営後の振り返り・評価まで行います。出展の施工や管理を行う企業はたくさんありますが、その前後、企画からフォローまでを通して行う企業は正直なところ少ないです」(飯島氏)
イベントの最初から最後までを一気通貫でサポートする点が特徴だという。企画段階では出展する展示会候補の提案やブース設計の提案、リード管理ツールの提案などを行う。事務局を設置し、契約期間中を通して企業をサポートしていく運用スタイルだ。コロナ禍以降、対面で行う展示会の重要性が再認識されていると飯島氏は話す。展示会には新たなリード(見込み客)の取り込みにつながるメリットがある。
「企業が展示会用の人員を自前で雇うとなると、人件費だけで年間800~1000万円の負担になることもあります。急に人が辞めてしまうリスクもある。『展示会のプロ』は”人手不足”解消にも貢献するサービスだと考えています」
PR会社での経験がデザイン面での強みに
もともとPR企業にいた飯島氏は、そこでの経験が出展時の設計に活かされているという。リードが入りやすく、アピールポイントが伝わりやすい設計を心がけている。
「以前はリードが入りづらそうな展示ブースを設けていた企業も、『展示会のプロ』を用いることで入りやすいブースにすることができました。私たちは発信すべき内容をシンプルに伝えるメッセージ性を意識しています。写真の例ではオープンでリードが入りやすい形にし、一番伝えたいメッセージを一番上に掲示しました。スピークバディ様はBtoBの企業なので、『全社の英語力を底上げ』というフレーズで、toCではなくtoBのメリットを打ち出しています。サービスの魅力が届くようにする設計思考はPR会社時代に培いました」(同)
製造業や飲食、ITなど様々な展示会が実施されている。なかでも展示会のプロはBtoB企業をターゲットとし、特にシリーズAから上場前の企業を狙っているという。
展示会後のフォローアップも
そして、リードの評価といった展示会後の振り返りにも強みを持つ。
「イベント後の振り返りでは、例えば500枚の名刺を基にリードの見込みや可能性をA~Dにランク付けします。ブースに来場したお客様と企業が提供する商材との相性や、決裁権者かどうかを基にランク付けするのです。我々にはそのノウハウがあります。」(同)
残念ながらそのノウハウの詳細までは聞けなかったが、出展企業がすでに持つ知見を交えながらランク付けを行うという。その後の商談化率も評価し、費用対効果を見ながら次回出展時に活かす姿勢だ。企画や施工を行う企業は多いが、フォローアップまで手掛ける会社は確かに少ないかもしれない。
M&Aとの兼ね合い
前述の通り、ロケットスターのサーチファンドに参画している飯島氏だが、同プログラムではM&A先として年間営業利益1億円以下、従業員数50人以下の企業を探しているという。実は「展示会のプロ」は、単独で伸ばしていくだけでなくM&Aとの兼ね合いがある。
「サーチファンドでは、BtoB企業のマーケティングを支援する会社を買収したいと考えています。起業したての第1走者としてではなく、第2走者として会社を伸ばしていきたい。そして買収後は『展示会のプロ』を買収先の事業として盛り込み、マーケティング支援事業の垂直立ち上げを狙っています。
『展示会のプロ』自体はできたばかりの新しい企業をメインターゲットとしているので、今後もスタートアップ界隈を中心に訴求していきたいです。今は展示会のコンサルがメインですが、より顧客の成果に直結しコストパフォーマンスの高いメニューも開発できたらいいなと考えています」(同)
イベントを一気通貫でサポートする「展示会のプロ」、そして将来的にM&Aを行うマーケティング支援会社がどこまで伸びていくのか注目したい。
(構成=Business Journal編集部)