原材料費・エネルギーコスト・物流費の上昇に伴い、値上げや内容量削減が続くなか、コンビニエンスストアで販売されている一部の食品・総菜のサイズが小さくなったといわれることもある。そんななか、「デイリーヤマザキ」の「大肉饅」(税込270円)が「巨大すぎる」などと一部で話題を呼んでいる。ヤマザキがこのような商品を投入した狙いは何か。また、他のコンビニチェーンの肉まん商品と比較して、そのクオリティやコストパフォーマンスはどのように評価できるのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。
1万店舗以上を展開するセブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンに対し、デイリーヤマザキの店舗数は約1000店舗。ミニストップや主に北海道内に展開するセイコーマートよりも少ない。運営元は製パン大手・山崎製パンであり、パン惣菜のクオリティの高さと品揃えの豊富さに定評がある。
話題になっているのは、そのデイリーヤマザキが昨年9月に発売した「大肉饅」だ。重量は通常サイズの肉まんの1.7倍もあるといい、見た目は直径も高さも1.3倍はあるようにみえる。他チェーンの肉まんとしては、セブン-イレブンは通常サイズの「ふんわり×ごろっと 肉まん」(160.92円)、大きいサイズの「もちもち×ずっしり 大入り豚まん」(240.84円)を販売。ファミリーマートは「じゅわっとジューシー本格肉まん」(168円)、「極旨 黒豚まん」(240円)を販売。ローソンは「肉まん」(170円)、「特撰 醤油豚まん」(268円)、「特撰 塩豚まん」(268円)を販売している。
そこで今回は年間1500種類以上のコンビニ飯を食べるコンビニグルメ研究家でサイト「いぬきちのコンビニ飯」を運営する「いぬきち」氏に、デイリーヤマザキの「大肉饅」と、各チェーンの大きめサイズの肉まんである、セブンの「もちもち×ずっしり 大入り豚まん」、ファミリーマートの「極旨 黒豚まん」、ローソンの「特撰 塩豚まん」を比較してもらった。
山崎製パンのノウハウ
「他の3チェーンと比較し、見た目としてはデイリーヤマザキの『大肉饅』が突出して大きいです。そして実際に食べ比べてみると、他3チェーンと比較にはならないほど大容量になっています。ゴロッとした肉の塊が入っていて、4チェーンのなかでもっとも食べ応えがあり、肉々しいという言葉がピッタリです。肉まんとしての味わいがしっかりとあるので、テイストも申し分ありません。食べる前までは『大差はほとんどないだろう』と個人的には思っていましたが、ここまで差があるのかと驚きました。よって、コンビニ各社の肉まんのなかでデイリーヤマザキの『大肉饅』はかなりコスパが良く、見つけたら買って損はない商品だといえます。
唯一の難点としては、やはり大手3チェーンと比べて店舗数が圧倒的に少ない点でしょう。それが逆にレア感を生んでいるような気もしますが、もし店舗が近くにあれば『肉まんを買うならデイリーヤマザキの大肉饅一択』になるといっていいでしょう」
では、デイリーヤマザキがこのような巨大な肉まんを販売する理由はなんなのか。大手コンビニチェーン関係者はいう。
「大きな背景としては、大手コンビニ3社は不定期に価格据え置きでサイズを大きくした商品を投入するというキャンペーンを行っており、これが消費者からかなり好評で話題性もあり、売上アップの材料になっているので、その流れをくんだものだと考えられます。山崎製パンはパンや製菓のメーカーとして大きなサイズを特徴とする商品を多数製造しており、安く美味しくつくるノウハウも持っているでしょう。また、一般消費者向けや小売店向けの商品として大量の肉まんを製造しており、原材料調達や製造ラインの点で他のコンビニチェーンに対して優位性を持っているのかもしれません」
(文=Business Journal編集部、協力=いぬきち/コンビニグルメ研究家)