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メタプラネットのビットコイン戦略

2025.05.15 2025.05.31 20:05 企業

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 メタプラネットは2024年4月に「ビットコインスタンダード」を採用し、ビットコインを主要な準備資産と位置づけた。これにより、同社はビットコインの保有量を増やすことを目指し、積極的な投資を行っている。2025年1月には、2025年末までに10,000BTC、2026年末までに21,000BTCの保有を目標とする「21ミリオン計画」を発表した。

 この計画の一環として、メタプラネットは複数回の社債発行や新株予約権の発行を実施している。例えば、2024年11月には最大約95億円の資金を調達する計画を発表し、その大半をビットコインの購入に充てるとしている。また、2025年2月には20億円の無利子債券を発行し、ビットコインを購入した。

 この動きは近年日本の経済界で活発化している、暗号資産を信頼できる金融資産と認識し始めた動きを反映していると言えよう。企業によっては、ビットコインよりもさらに大きな高騰をする可能性があるアルトコインやミームコインへの投資が始まることもそう遠くないのかもしれない(高騰するチャンスが高いミームコインおすすめ一覧はこちらを参照)。

株価の急騰と市場の反応

 メタプラネットのビットコイン戦略は、株式市場にも大きな影響を与えている。2024年10月には株価が1,000円未満だった同社の株価は、2025年2月には6,650円を突破し、年間で4,000%の上昇率を記録した。昨今の株式市場の乱高下をものともしないこの急騰はビットコイン中心の資産戦略と積極的な投資手法によるものとみられている。

 また、メタプラネットの戦略は米国のストラテジー(Strategy)社と比較されることもある。ストラテジー社はビットコインを大量に保有することで知られており、メタプラネットの動きはこれに追随するものとみなされている。

財務状況と業績の改善

 メタプラネットは2024年12月期の決算で、営業利益が前期の4億6,800万円の赤字から3億5,000万円の黒字に転換した。売上高は前期比306.0%増の10億6,200万円、親会社株主に帰属する当期純利益は63億9,700万円と報告している。期末時点でのビットコイン保有総数は1,761.980BTCで、54億5,700万円のビットコイン評価益を計上している。

 セグメント別では、ビットコイントレジャリー事業が売上高6億9,100万円、従来のホテル事業が3億7,000万円を計上した。財務面では、総資産が303億2,500万円(前期末比286億5,900万円増)、純資産は189億2,300万円(同177億7,100万円増)となり、自己資本比率は62.3%を維持している。

経営陣と戦略の背景

 メタプラネットの経営陣には、元ゴールドマン・サックスのトレーダーであるサイモン・ゲロヴィッチCEOや、モルガン・スタンレー出身の王生貴久CFOなど、金融業界での経験豊富な人材が揃っている。彼らのリーダーシップの下、同社はビットコインを中心とした戦略を推進している。

 また、東京・五反田にある「ホテルロイヤルオーク五反田」を「The Bitcoin Hotel」として再開発し、ビットコイン教育やコミュニティ構築の拠点とする計画も進行中だ。

ビットコイン企業としてのメタプラネット

 メタプラネット株式会社は東京証券取引所スタンダード市場に上場する日本の企業であり、2024年以降、ビットコイン(BTC)を主要な準備資産とするという極めてユニークな企業戦略を採用することで国内外の注目を集めている。もともとはホテル運営やメディア事業などを展開していた同社ながら、現在ではそのビジネスモデルの根幹を「ビットコイン戦略」に据え、日本の企業としては最先端を行く存在になりつつある。

ビットコインスタンダード導入の背景

 メタプラネットが「ビットコインスタンダード」を導入したのは2024年4月のこと。この方針のもと、同社は法定通貨や従来型の金融資産ではなく、ビットコインを企業のバランスシートに積極的に組み込むことを決定した。発表当時、ビットコインは世界的に価格が高騰しており、インフレへの懸念や米国の金融政策不安が市場に影響を与えていた。

 メタプラネットの経営陣はこうしたマクロ経済の動向を見越し、企業としての資産防衛および長期的成長を支える手段としてビットコインを選択したとされる。特にCEOサイモン・ゲロヴィッチ氏とCFOの王生貴久氏といった金融業界出身のリーダーたちが、この戦略の中核を担っている。

社債・ワラントを活用した資金調達とBTC取得

 メタプラネットは、ビットコイン取得に必要な資金を、主に新株予約権(ワラント)の発行と社債の発行によって調達している。ワラントとは、株式の将来的な購入権を外部投資家に提供するもので、実際に株式として行使された段階で企業側に資金が流入する。

 このスキームは、米ナスダック上場企業ストラテジー社がドル建て転換社債を用いてビットコインを取得した手法に類似している。ただし、メタプラネットは日本の低金利環境を活かし、円建てでのゼロクーポン社債(利息なし債券)を発行するなど、日本市場に合わせた独自戦略を構築している。

メタプラネットのビジネスモデルと事業多角化

 メタプラネットはもともと、ホテル運営や広告・メディア関連事業を手がけていた企業であり、現在でもそれらの事業は継続している。特に、前述の「The Bitcoin Hotel」構想ではビットコイン関連の教育イベント、コミュニティミートアップ、展示などを開催する予定で、単なる宿泊施設以上の「ビットコイン・ハブ」として機能させる構想が描かれている。

 さらに同社は自社メディアや教育プラットフォームを活用して、暗号資産に関する情報発信と知識の普及にも取り組んでおり、これはビットコインのエコシステム拡大に資する社会的価値も備えている。

リスクと市場の反応

 当然ながら、こうした戦略にはリスクも伴う。最大の懸念はビットコイン価格の急激な下落であり、これが同社のバランスシートや株主価値に大きく影響を与える可能性がある。また、暗号資産に関する法的・会計的整備が日本では依然として発展途上であり、これが監査や資金調達に障害となるケースも予想される。

 加えて、株主や市場関係者の中には「実業とのバランスが取れていないのではないか」という懸念の声もある。ビットコイン価格に企業価値が連動しすぎることで、本来の企業活動に対する評価が歪む可能性があるためだ。

 それでもなお、ビットコインという新たな金融資産クラスを大胆に取り込むメタプラネットの挑戦は、投資家だけでなく、他の日本企業や経済メディアにとっても関心の的となっている。

今後の展望と課題

 メタプラネットは、2025年から2026年にかけてのビットコイン保有目標を達成するため、引き続き積極的な投資を行うとみられている。同社の戦略が成功すれば、日本企業におけるビットコインの採用が進む可能性もあると言えよう。しかし、暗号資産市場の変動性や規制の動向など、不確定要素も多く、慎重な対応が求められている。

 また、同社の本業であるホテル経営が赤字であることや、ビットコイン価格の変動による財務リスクも懸念されている。これらの課題に対処しながら、ビットコイン戦略を継続することが、今後の成功の鍵となるだろう。

※本稿はPR記事です。

BusinessJournal編集部

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