ビジネスジャーナル > 企業ニュース > メタプラネット、2027年までに21万BTC保有を目指す

メタプラネット、2027年までに21万BTC保有を目指す

2025.06.17 2025.06.17 17:27 企業

メタプラネット、2027年までに21万BTC保有を目指すの画像1

 メタプラネット株式会社(東証スタンダード)は2025年6月6日、総額約7,700億円(約54億ドル相当)を新株予約権で調達し、ビットコイン(BTC)保有量を現在の8,888BTCから210,000BTCへと拡大する「555ミリオン計画」を正式発表しました。

 同社は“アジアのマイクロストラテジーとも称され、株式を通じてビットコインを間接保有できる国内初の実例として個人投資家の注目を集めています。

 世界的にBTC現物ETFの合格が相次ぐなか、日本では依然として未承認の状況が続くため、同社の動きは、日本版ビットコインETF代替と目される側面も。

 詳しい仮想通貨マーケットを把握するためには、ビットコインと並んで各方面で話題になり、ボラティリティの高さを誇るミーム系暗号資産を網羅したミームコイン一覧も併せて見るのも勉強になります。

ビットコイン集中戦略とは何か

 ビットコインは発行上限が2,100万枚と決まっており、希少性ゆえに「デジタルゴールド」と呼ばれます。

 メタプラネットは「現預金でなくBTCを持つほうが自社のバランスシートを強化できる」と判断し、2023年にホテル運営事業から暗号資産トレジャリー企業へ業態転換しました。

 株式市場で調達した資金の約96%を現物BTCへ充当しつつ、残りは社債償還やオプション取引で流動性を確保する、いわゆる「バランス型集中投資」モデルを採用しています。

 2024年から2025年にかけての四半期別「BTCイールド」(1株当たり保有BTC増加率)はQ3 41.7%、Q4 309.8%、2025年Q1 95.6%、Q2 66.3%と右肩上がりの伸びを示しました。

 これにより年初来225.4%という驚異的な数値を達成し、株主は株価上昇とBTC価値上昇の「ダブル恩恵」を享受しています。

 加えて、ビットコインは24時間365日取引されるため、同社は自社のFXトレーディング部門と連携して機動的な調達計画を組み立てているのです。

 マーケット急落時は短期社債を発行して買い増し、反対に急騰時には一部BTCを担保にデリバティブを用いたヘッジを行い、ボラティリティを収益源へ転換する高度な財務戦略を展開中です。

 これらの取り組みが投資銀行や会計事務所の注目を集め、トレジャリー運用における“メタプラネット・モデル”が国際会議で紹介されるケースも増えています。

目標を21万BTCへ拡大した理由

 当初策定された「21ミリオン計画」では2026年末までに21,000BTCの保有がゴールでした。

 しかし、計画開始からわずか18か月で8,888BTCを積み増せたことで“このペースなら10倍スケールも視野に入る”と経営陣が判断し、新たに「555ミリオン計画」を上程しました。

 同社は「総供給量の1%を押さえ、BTC需給バランスがタイト化した未来に備える」と説明し、円安やマイナス金利といったマクロ経済リスクへの防波堤を築く狙いを明確にしています。

 同時に、企業価値の算定方法もBTC基準へシフトしつつあるのです。

 従来は「株主資本利益率(ROE)」や「一株当たり利益(EPS)」が主要指標でしたが、同社は「一株当たりBTC保有量(BTCPA)」を新たに提示し、市場との対話を図っています。

 BTCPAの上昇がそのまま株価魅力度に直結する構造を示すことで、株主に“長期的にBTCを蓄える喜び”を共有させる仕組みを醸成しています。

 2025年内にBTCPAは現在の0.00003BTCから0.0001BTCまで高まる見通しであり、株価とBTC価格の正相関がますます強固になるとの分析も。

資金調達スキームと潜在的リスク

 今回発行される「ムービングストライク型ワラント」は、行使価格が株価の一定割合で自動調整されるため、極端なディスカウント発行を避けつつ資金調達が可能です。

 総数555百万株という前例のない規模は東京証券取引所史上最大で、最大調達額は約7,700億円とアジア圏ビットコイン関連ファイナンスでも群を抜きます。

 株主の希薄化リスク軽減のため、行使価格には最大25%のプレミアムを設け、段階的な行使期間(2025年6月24日~2027年6月23日)を設定していますが、それでも、BTC価格が短期的に急落した場合には、計画遂行ペースが遅れることがあるでしょう。

 また、金融庁が提案中の「暗号資産会計基準」が施行されると、評価損益の計上タイミングが短期化し、決算のブレ幅が拡大する可能性もあります。

 同社は「BTC価格が半値になっても追加担保なしで運営できる潤沢な現預金を確保している」と強調しつつ、場合によっては社債発行による二段階調達も検討するとの声。

 さらに、将来的に日本でBTC現物ETFが承認された場合には「当社株とETFとの裁定取引」が活発化し、株価とBTC価格の相関が薄まる懸念も生じます。

 こうした複合リスクに備え、複数通貨建てヘッジやOTCデスク活用など、多層的なリスクマネジメントを敷く計画です。

市場と投資家へのインパクト

 短期的には、新株予約権行使による希薄化懸念から株価が変動しやすく、ボラティリティを好む短期筋の売買が集中しやすい局面が続くでしょう。

 ただし、日本ではBTC現物ETFが未承認であり、メタプラネット株は「株を買うだけでBTCエクスポージャーを得られる」希少な金融商品となっています。

 そのため、長期保有を前提とする個人NISA勢や海外ファンドが流入し、板の厚みが増した結果、出来高は発表翌日に通常時の5倍へ膨れ上がりました。

 さらに、マイクロストラテジーの保有BTCが55万枚を突破したことで生まれた“企業型BTC保有ブーム”は、今後も中小型企業へ波及すると見込まれています。

 日本企業が追随すれば、2029年までに約3300億ドルの企業マネーがBTC市場へ流入する可能性があるとのリサーチも発表されました。

 投資家にとっては「企業トレジャリーが供給を吸収し、需給タイト化が進む=中長期で価格押し上げ要因」と捉えられ、BTCのストックフローモデルにもポジティブな影響を与えるでしょう。

 一方で、金融庁は「企業の暗号資産集中保有がシステミックリスクを高める」との見解も示しており、今後の規制次第では売買報告義務や資本比率規制が強化される可能性があります。

BTCプランの今後の動向

 メタプラネットの21万BTCプランは、日本企業が暗号資産を財務戦略の柱へ組み込む新時代の幕開けのシンボル的なプラン。

「株式調達→BTC購入」というシンプルながら大胆なロジックの裏には、円安・インフレ・超低金利という国内特有の逆風があります。

 同社はムービングストライク型ワラントを駆使して既存株主保護と資金確保を両立しつつ、BTC価格の上昇メリットを株価へ取り込む好循環を設計しました。

 今後は、「追加発行や社債併用による資金繰り」、「金融庁の会計・税制・規制の具体化」、「BTC相場の長期トレンド」これら三つが計画の成否を握ります。

 BTCは高ボラティリティ資産であり、短期的な価格変動は避けられません。

 それでも、希少性と分散性を兼ね備えた「デジタルゴールド」を大量保有する企業の出現は、市場エコシステムを底上げし、従来の金融インフラを再定義する契機となるでしょう。

 投資を検討する際は、リスクとリターンを天秤にかけ、長期的な視野で情報を更新し続けることが大切です。

※【PR】当稿はインフォメーションです。

BusinessJournal編集部

Business Journal

ポジティブ視点の考察で企業活動を応援 企業とともに歩む「共創型メディア」

X: @biz_journal

Facebook: @biz.journal.cyzo

ニュースサイト「Business Journal」