●京都人気はいつの時代も変わらず
ただし、これらのエリアの人気は京都を上回ることはない。時代を問わず、関西で不動産といえば京都というブランドは揺るぎない地位を保つ。関西の不動産を担当する銀行員は、その現状をこう話す。
「関西地区外に在住で、これから関西地区にセカンドハウス、マンション・アパート一棟買いを行うなど、投資対象として不動産を買おうという富裕層は、巷で大阪府や兵庫県のどこがホットだと騒がれていても、ほとんど影響を受けません。なぜなら京都というブランドがあまりにも大きいからです」
とりわけ、キャッシュで1億円程度の物件をポンと購入できる10億円以上の資産規模の企業オーナーたちには、京都以外のエリアは眼中にないといったところか。
「富裕層にとって、関西では京都以外の土地は価格動向がどうであろうと、極論すれば意味をなしません。たとえ小さくとも、京都に物件を持っているということに価値を置く傾向があります」(地元新聞社広告局員)
●「京都以外はすべてノーブランド」の関西不動産投資事情
関西非在住者が、関西の不動産に投資する場合、京都以外はすべてノーブランドといった認識のようだ。それゆえ、大阪や神戸などの大都市を含めて、どこが再開発されようと「投資対象として京都以外の不動産に興味を示さない」(地元不動産業者)という。
事実、関西の高級住宅地・芦屋市内に住む企業経営者もこう話す。
「天王寺、上本町、福島、三ノ宮と、どこも魅力的です。しかし、ブランド力が京都に比べると弱いのは明らかです」
投資対象として考えると、富裕層の間では、これから高騰が予測されるエリアよりも、すでにブランドが確立された京都のほうが、より魅力的に映るようだ。
「京都市内なら、まず“外れ”がなく『持っておくだけで意味がある』。それが京都というブランドです」(同)
京都市内でも、特に烏丸、四条、山科の各エリアの人気は高い。
「これら京都3エリアは、そうそう値崩れも起こさないので、多少割高な価格設定だったとしても手に入れたいですね。そして、手に入れたら手放しません」(同)
前出の企業経営者は、最近も関東の企業経営者から京都・山科での物件購入について相談を受けたばかりだと話す。
こうした京都への人気は、昨年、マンション開発で定評のある財閥系不動産業者が、京都・河原町の国有地を競り落としたことで、さらに輪をかけた感がある。なかなか出回らない京都のマンションが手に入る好機が訪れたと捉えられているからだ。
「アベノミクス効果で関西不動産も注目されています。しかし、関西在住ではない富裕層の間では、やはり京都1箇所に集中といったところです」(前出の地元不動産業者)