●投資家のリスクヘッジに寄与するサイトづくり
現在、若い人でも株などの投資をする人が増えてきました。今後も増えていくことは間違いないでしょう。しかし自分できちんとリスクを見極めるだけの知識が身につけられるサイトにしたいのです。そうすれば、このような事件は減っていくのではないでしょうか。私たちなりの社会貢献ができると思います。
–知識を身につけられるニュースとして、特に裁判などに着目した理由はあるのですか?
横田 裁判というのは、日常生活からかけ離れたテーマと言えるでしょう。例えば衆議院議員総選挙の際に、最高裁判所裁判官の国民審査で○×をつけますが、用紙に記載されている判事の名前をほとんど知らないという人が大多数だと思います。
これが地方裁判所や高等裁判所の裁判官となると、誰がどういう判決を下してきたのか、まったくわからないのです。
欧米では、裁判官がどういう判決を下したのか、というニュースは政治家の政策並みに報道されます。判決が判例となり、一種の法律がつくられていくわけで、影響力はとても大きいのです。しかし、日本ではまったくといっていいほど報道されていません。
だからこそ、あえてそこを報じる意味は大きいと思っています。
●読者層を開拓する記事の充実を図る
–大きく変えたポイントをお伺いしましたが、逆に変えない部分などはありますか?
横田 従来の当サイト読者たちに好評だったストレートニュースなどは、これまで通りさまざまな情報を流していきたいと思っています。
しかし、読者の範囲は広げていきたいと思っています。そのひとつが女性の投資家向けの記事の充実です。先日、大手化粧品メーカーが2つのブランドを売却しました。それまですごく良い製品を開発していたのですが、日本人向けにはなっていなかったことなどもあり、なかなか話題にならなかったブランドです。今後は大手化粧品メーカーの販路や商品開発力を得て、日本人向けに直していくと思います。そうした話題に女性は敏感です。
また、最近では登山の話題などは、男性・女性関係なく人気が出てきています。一時期流行した「山ガール」の話題などには、女性も興味を持つと思います。そういう記事を少しずつ増やしていきたいと思っています。
ほかにも若い人向けの記事を増やしていきます。ファーストフードや携帯電話キャリアなどは、若い人の感覚にもヒットするでしょう。今までは30~50代男性がメインの読者層のサイトでしたが、その枠をもう少し広げていこうとしています。
●今後の目標は1000万PV
–今後の目標などありましたら、お願いします。
横田 当サイトのビジネスモデルとしては、広告と課金に分かれます。もっとも広告は出してくれればありがたい、というくらいですね。広告を出していただいたからといって、その企業に不利なニュースを掲載しない、ということは絶対にしません。
その分、課金についてはいろいろな検討をしています。裁判記録などが充実してくれば、企業の法務部や機関投資家等が課金プランに加入してくれたりするのではないかと思っています。以前の裁判記録などをすぐに検索できるサイトがあれば、彼らの業務負担を大幅に減らすことができるはずです。
主婦層の需要なども見込めます。幅広いニーズに応えるため、料金無制限のプランと共に一部だけを月1000円で読めるプランなど、いろいろな方法を考えています。
あとはページビュー数を増やしたいです。これまで、PVを増やす取り組みは片手間のようなところもありました。しかし今後は月間1000万PVくらい達成したいです。それが今の目標です。それくらいのPVがあれば、スクープニュースなどでも外部の記者にお願いすることもできるようになります。この手の記事は、企業のかなり突っ込んだ部分まで取材しなければなりません。かなりの突破力が要求されますし、弁護士とのやりとりや訴訟になっているものも多く扱いますから、へたな記事を書くと訴えられるということもあり、相当気をつけないといけません。
そのため、現在はほとんど私が書いている状態です。ほかのサイトで、編集長がそこまでやっているということは、あまりないでしょう。 PV数が増え、課金会員も増えてくれれば、優秀な記者の方にお願いできるようになります。そうすればさらに、コラムや読み物なども充実させることができると思います。
–ありがとうございました。
(文=編集部)