エンタメ系情報サイト「ウレぴあ総研」のレポートによれば、開業初日は「開店から30分ほどで約130人が店外に行列をつくり、入場制限をかけるほどの盛況ぶり。最後尾は入店まで1時間ほどかかった」という人気ぶりで、「この周辺はスーパーがなくて困っていた。この店は品揃えが豊富で買い物がしやすい」と、50代主婦の満足そうな声も伝えている。
また流通業界専門誌の「Value CREATOR」(バリュー・クリエイター社)によれば、開業初日の来店客数は約2500名で、開業から1週間時点の一日当たりの平均来店客数は約2000名。改装前の生鮮コンビニ・ローソンストア100(以下、ストア100)の前年同期と比較すると、客数は約50%増、売上高は約80%増になったという。
ローソンマートは、ローソンが2005年から展開しているストア100の進化業態で、「コンビニ型スーパー」として注目されている。
ローソンマートは売場面積が通常のコンビニの約2倍で、商品数も通常のコンビニの1.5倍程度の約6000品目。生鮮三品(精肉、鮮魚、青果)と総菜類の品揃えをストア100より充実させているのが特徴だ。西横浜店を皮切りに、今後はストア100の改装を中心に東名阪の住宅街に集中的に出店し、3年で約500店を計画している。主婦や高齢者の最寄品ニーズを、コンビニ型の24時間営業により取り込むことを狙っている。
ローソンの玉塚元一COOは2月17日、ローソンマート開業発表の席上で「既存の食品スーパーやミニスーパーをやろうとは思っていない」と述べた上で、「ストア100は単一価格を基本としていることから『100円』という縛りにより、例えば果物は1個でしか売れなかったり、逆に納豆では高すぎて買ってもらえなかった。そこでローソンマートではこの縛りを解き、幅広い価格設定と既存コンビニにない充実した品揃えで主婦や高齢者のニーズに対応した『遠くのスーパーより近くのコンビニ』を目指す」と説明している。
この説明について、流通業界関係者は「大都市部の住宅街ではあちこちで再開発が進み、高層マンションが林立しているにもかかわらず、生鮮三品を中心とした最寄品を供給する食品スーパーが少ない。コンビニの数は多いが、コンビニの品揃えでは消費者の最寄品ニーズを満たすことはできない。このため、食品スーパーやコンビニに代わる新たな流通業態が求められている」と話し、ローソンマートに期待を寄せている。
ローソンマートには、「進化型コンビニ」「主婦や高齢者のニーズ対応」「新たな流通業態」といった「コンビニイノベーション」を思わせるイメージが感じられるが、その裏には、同業他社との差別化で、業界トップのセブン-イレブン(以下、セブン)に追いつこうとするローソンの経営戦略がある。