日本著者販促センターによると、全国に1999年に2万2296軒あった書店は、2013年には1万4241軒と激減。15年で8000以上の書店がなくなっている計算だが、この店舗数には外商専門で店頭販売をしていない書店も含まれているというから、一般の消費者が利用できる書店はもっと少ないことになる。
ダイヤモンド社の調べによる13年1~8月の1店舗単位での売上高ランキングは、1位が丸善・丸の内本店。その後は紀伊国國屋書店・梅田本店、紀伊國屋書店・新宿本店、丸善・日本橋店、ジュンク堂書店・池袋本店、三省堂書店・有楽町店と続く。いずれも本好きのみならず、よく知られている有名店舗ばかりだ。
しかし、書店をチェーンごとにまとめたランキングを見ると、ここに並んでいない名前が出てくる。それはTSUTAYAだ。12年の売上高で、それまで首位だった紀伊國屋書店を抜いて、国内に実店舗を持つ書店としては首位になっているのだ。
●群を抜いた店舗数で大きな売り上げに
TSUTAYAといえば、書店としてよりもCD・DVDレンタルのほうが馴染み深い。書籍はCD・DVDレンタル店舗の一角で扱われている店舗も多いが、それでも書籍売り上げのみで国内トップとなっている。
なぜTSUTAYAが急激に伸びているのか、なぜ単独店舗のランキングには名前が出てこないのにまとまると強いのかといえば、圧倒的な店舗数がその要因だ。
紀伊國屋書店は全国主要都市に64店舗。丸善やジュンク堂書店、三省堂書店といった有名書店も30~60店舗程度だ。文教堂書店は大型店こそ少ないが店舗数が多く、96店舗となっている。
これらに対してTSUTAYAは、742店舗という圧倒的な店舗数を誇っている。もちろん、成功しているからこそ店舗数を増やしているのだろうが、まだ売り上げが小さかった頃から店舗数は他の書店とは違う規模だったのは確かだ。
これだけの店舗数を維持し、さらに伸び続けている秘訣は、ビッグデータの活用にあるようだ。
●Tカードのデータを活用
TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブは、さまざまなシーンで利用できるポイントカード「Tカード」によるサービスを展開している。当然TSUTAYAで買い物する人の多くもTカードでポイントを貯めているはずだ。
このTカードには個人情報が登録されているため、買い物の際にTカードを利用することで運営側には購入データが蓄積され、店舗ごとに、どのような属性の客層が多いのか、年代・性別ごとに購入される本の傾向などを把握できる。そのようなビッグデータを活用して、それぞれの店舗ごとに客層に合わせた本を集めて陳列することで効率的な売り場をつくり、成果を上げているのだ。