そこで注目されているのが、ポイント制度だ。ショッピング会員カードや電子マネー、クレジットカードなど、利用するごとにポイントがたまる制度は多くある。すでに使い慣れたものではあるが、活用方法によって大きな差が出るだけに、改めて関心が高まっているようだ。
現在、企業が発行するポイントやマイレージは大きな市場になっている。2013年5月に野村総合研究所が発表した調査結果によると、11年度のポイント・マイレージ発行総額は9770億円にも上るという。このうち多くを占めているのが家電量販店、クレジットカード、携帯電話のポイントだ。
定期的に行われてきたこの調査では、「ポイントが商品やサービス、店舗の選定に影響するか」との設問に対して、06年以降「YES」と答える人が増え続けてきたのだが、12年夏の調査で一度落ち込んでいる。
これはポイントを利用する人が減ったという意味ではない。使われないまま失効となるポイントは非常に少なくなっている。どちらかというと、よく利用する店のポイントカードはすべて持っており、今となってはポイントを店選びの基準にはしない、という消費者の意識が表れているのではないだろうか。つまり、ポイントを活用することに消費者が慣れ、ポイント市場は成熟してきたといえる。
ところが13年の調査では、再び「YES」の回答が増えている。これが増税を前にして節約意識が高まったことによるかどうかは断定できないが、ポイントを活用して得したいという消費者の気持ちが高まっていることは感じられる。
共通ポイントシステムに楽天が参入
ポイントの失効率が低いだけに、企業側は適正な範囲でポイントを付与することに気を使うところだろう。むやみに高いポイントを還元すれば利益を圧迫しかねず、かといってポイント還元率が低すぎると消費者の心は離れてしまう。ほどよいポイントでお得感を出すことが、双方にとってよい結果につながるはずだ。
三菱商事の子会社であるロイヤリティマーケティングが運営するPontaや、カルチュア・コンビニエンス・クラブが運営するTポイントなど、複数の業界にまたがって相互利用できる共通ポイントが普及している現在、新たに独自ポイントシステムを立ち上げるのは簡単なことではない。
しかし楽天は4月9日、今年の10月から「楽天スーパーポイント」をリアル店舗と連動させると発表した。すでに出光興産、J.フロントリテイリング、サークルKサンクスなど11社と提携を行っており、全国約1万3400の実店舗で利用可能になるという。
楽天は同業種から複数社の加入を認める方向であると伝えられており、楽天市場に出店している企業の持つリアル店舗での導入を推進するなど、対応店舗を大規模に拡大する方針だ。またTポイント等も以前は中堅企業以上のチェーン店が加盟するものというイメージがあったが、現在は小規模な小売店でも加盟しやすくなっている。
共通ポイントに加盟することで、大型店舗と小規模店舗が同一グループに属することになる。単純にポイントを共通化するだけでなく、いずれこのグループを利用した共通サービスなど新しい動きも出てくることだろう。
工夫次第で多重ポイント獲得も可能
ポイント市場が成熟し、インターネット上などでは、効率的にポイントを獲得できる方法も数多く検討されている。
例えば、ポイントの多重取りだ。クレジットカードを利用して電子マネーにチャージし、その電子マネーで買い物をすると、クレジットカード利用ポイントと電子マネー利用ポイントを獲得できる二重取りはよく知られているところだ。
また、クレジットカードや電子マネーカードが利用店のハウスカードを兼ねている場合、店頭での商品購入時にカードを見せるだけでポイントが付く場合もある。この場合は三重取りとなる。
さらに、カードの種類や使い方によっては、四重取り以上も可能となる場合がある。特にネットで利用可能なカードやポイントの場合、特定のサービスを一定の条件で利用するとさらにポイントが付く、という場合がある。
これにネットショップでよく行われる期間限定のポイント倍増キャンペーンやアンケートに答えるだけでもらえるポイントなどをうまく組み合わせると、実際の出費額は変わらないまま多くのポイントが獲得できる。自分の利用方法によって最もお得なクレジットカードや電子マネーの組み合わせを選択するには知識と工夫が必要だが、それもまた楽しみの一つともいえる。
単純に高いポイント還元だけを求めるのではなく、こうした組み合わせによるメリットを狙うカードユーザーも増えているようだ。企業側もユーザーの動向を注視しながら、いろいろな取り組みを展開していくことだろう。ポイント関連サービスが盛り上がる機運を見せているだけに、節約を意識しつつ、ぜひ注目していきたい。
(文=エースラッシュ)