昔ならばルックスもそれなりに良くなければ、バンドの人気はいまひとつ上がらないことが多かった。しかし最近、お世辞にもカッコ良いとはいえない、いわゆる「非リア充【編註:実生活が充実していない】系」のバンドの露出が増えてきているのだ。
●人気を支えるのは女性ロックファン
実際に、そのようなバンドの売り上げは好調なのだろうか。ある音楽業界関係者は、某非リア充系バンドについてこう語る。
「最近メジャーデビューしまして、その際に発売したアルバムの売り上げが2~3万枚ぐらいです。一昔前に比べると少なく思えますが、CDの売り上げとライブの動員数が逆転している時代でして、今は数万枚売れていれば充分ヒットの部類ですし、ワンマンライブのチケットは1500~2000人ぐらいのキャパシティのライブハウスなら即完売するほどの人気ぶりですね」
テレビCMや映画、アニメとのタイアップ曲を出している非リア充系バンドもいる。認知度が上がっていることの裏付けといえよう。ところで彼らには、どのようなファンが多いのだろうか?
「年齢層は10代後半~20代前半で、男女比は4:6ぐらいです。今の邦楽ロック界は全体的にライブに来るのもCDを買うのも女性のほうが多いのですが、ロックフェスなどで数あるバンドの中からたまたま非リア充系バンドを観て、その風貌と音楽のカッコよさのギャップに惹かれた女性ファンも少なくないでしょう」(同)
女性のほうがバンドのルックスを重視しているイメージだったが、そうでもないようだ。
●非リア充系バンドが人気のワケ
風貌が妖怪のようだと評される「ゆらゆら帝国」や、ボーカルが地味な理系男子のような「ナンバーガール」など、以前からルックスがイマイチなバンドは存在した。しかし、最近の非リア充系バンドは、自らのルックスを逆手にとったパフォーマンスを行っているという点が異なっている。
例えば、アーティスト写真でわざと白目を剥いて変顔をするバンドや、ライブ中に服を脱いで観客から「気持ち悪い」と言われるのがお約束の盛り上げパフォーマンスとなっているバンドがある。彼らは、得てしてインディーズ時代からそのようなセルフプロデュースを行っていることから、事務所の意向ではなく本人達の意思であることがうかがえる。つまり、バンドメンバー自身が“イケてないルックスがウリになる”ことを自覚しているのである。
では、なぜ非リア充系バンドの人気が出ているのだろうか。