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ブラック企業アナリスト・新田龍「あの企業の裏側」第21回

すき家のゼンショー、朝日新聞「3K認める」報道に抗議 検証機関は「誤報の疑い」と注意

文=新田 龍/株式会社ヴィベアータ代表取締役、ブラック企業アナリスト
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すき家のゼンショー、朝日新聞「3K認める」報道に抗議 検証機関は「誤報の疑い」と注意の画像1ゼンショーが運営する「すき家」の店舗(「Wikipedia」より/Corpse Reviver)
 「ブラック企業アナリスト」として、テレビ番組『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)、「週刊SPA!」(扶桑社)などでもお馴染みの新田龍氏。計100社以上の人事/採用戦略に携わり、数多くの企業の裏側を知り尽くした新田氏が、ほかでは書けない「あの企業の裏側」を暴きます。 

 2月以降、アルバイト不足などが原因で牛丼チェーン「すき家」の一部店舗で一時閉店が相次いでいることが話題を呼んでいる。景気回復による労働力不足を象徴する現象として、しばしばメディアでも取り上げられ、「すき家」では24時間営業をやめる店舗も出ているという。

 一連の事態をめぐり、一部メディアやインターネット上などでは、その「すき家」を傘下に収めるゼンショーホールディングス(HD)の労働環境に関してさまざまな情報・臆測が流れている。そんな中、5月15日、同社は自社ホームページ上で、同社について報じた同日付朝日新聞記事『すき家のゼンショーHD社長「3K仕事やりたがらない」』に対し、正式に抗議をする事態に発展している。

 同記事には「人手不足に悩む外食大手ゼンショーホールディングスの小川賢太郎社長は『日本人はだんだん3K(きつい、きたない、危険)の仕事をやりたがらなくなっている』と嘆く」などと書かれている。これに対しゼンショーHDは、小川氏自身が「すき家」の仕事を「3K」だと捉えているかのように報じているとして、「大変遺憾です」とのコメントを発表した。

 実際には、小川氏が記者会見中で「日本人がだんだん3Kをやりたがらないと、昨日どこかの記事にも載っていましたけれども」と一部報道を紹介した上で、「ミスマッチでやりたい人が少ない、という現状は確かにある。しかしそのような状況でも経営努力をし、インフラとして機能させていくのが我々の責任だ」と語ったところから、一部を切り取られたものだという。

 そのため同社は15日、自社ホームページ上で『本日の朝日新聞記事について』と題し、当該記者会見の一部始終を掲載した上で、次のように朝日新聞に抗議している。

「『日本人はだんだん3Kの仕事をやりたがらなくなっている』という部分については、記事(5月17日号の東洋経済の記事『誤解だらけの介護職~もう3Kとは言わせない』と題した特集記事)にそういう趣旨が書いてあったと述べたものであり、小川の所感を述べたものではありません。また、文脈としても『すき家』のことではなく日本の労働市場全般に関する一般論を述べた中で語ったものです。一部事実と異なる報道があったことは大変遺憾です」

●ゼンショーHD広報室の見解

 本件について同社広報室は、当サイト編集部の取材に対し「(朝日新聞の報道に)一部事実と異なる報道があったことは、大変遺憾です」とした上で、一部店舗閉鎖の現状と対策について、次のように説明する。

「現在、人手不足により一時閉鎖中の店舗は28店舗であり、人手確保のため、全店で現在、店舗リニューアルを行っております。また、今後同様の問題が生じないための対策として、東京・品川(同社所在地)で全国約2000店舗をオペレーションする現在の体制を、エリアごとに7社に分社化することにより、経営トップと現場の距離を近くするなどの取り組みを行っていきます」

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